「M&A仲介トラブル」防止へ新たな対策、中小企業庁が指針改定

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多鹿ちなみ 藤田知也

 M&A(企業合併・買収)仲介での事業承継でトラブルが多発している問題を受け、中小企業庁は30日、仲介業者などに向けた中小M&Aガイドライン(指針)の改定内容を公表した。「悪質な買い手」を排除するため、仲介業者などが買い手候補について調査し、M&Aにあわせて銀行融資の経営者保証の解除や移行が確実に行われるよう求める。来年1月から適用する。

 事業継承をめぐっては、複数の法人がM&A仲介を通じて短期間に多くの中小企業を買収し、現預金などの資産を抜き取る一方、資金繰りを悪化させてトラブルが多発している。朝日新聞では5月以降、こうした実態を報じてきた。国の制度に登録する業者も多く関与しており、中企庁が指針改定による対策を検討していた。

 改定後の指針では、仲介業者などが買い手の調査を行い、売り手側に調査の手法や概要の事前説明を義務づける。買い手のトラブル事例は組織や業界で共有し、売り手の不利益とならないよう取引は慎重に判断する。

 経営者保証を引き継がないトラブルを防ぐため、最終契約では解除や移行を「義務」として盛り込み、義務が果たせない場合の対応も定める。金融機関への事前相談を顧客に促し、保証の手続きを契約と同時に行うなどして確実に履行させる。

 中小企業の売り手と買い手を引き合わせて報酬を得る仲介ビジネスは資格も免許も不要だが、補助金の利用対象となるには「M&A支援機関登録制度」に登録し、指針を守る必要がある。8月20日時点で645社の仲介業者を含め、2766社が登録している。

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 新指針ではさらに、売り手と…

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この記事を書いた人
多鹿ちなみ
経済部
専門・関心分野
エネルギー政策、人権、司法
藤田知也
経済部
専門・関心分野
経済、事件、調査報道など