東京電力柏崎刈羽原発への「運転禁止」命令、規制委が解除を決定
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)でテロ対策の不備が相次ぎ、事実上の運転禁止命令が出された問題で、原子力規制委員会は27日、命令の解除を決定した。
同日にも東電に通知文を手渡し、正式に解除される。解除されれば、焦点は地元同意に移る。
規制委が命令解除を決めたのは、ほかの原発と同じ最低限の水準である「自律的な改善が見込める状態」になったと判断したためだ。ただ、命令解除後も、改善を持続するための制度が機能しているかなどを重点的に確認する。
柏崎刈羽原発6、7号機は、再稼働に必要な主な審査を2017年12月に終えた。だがその後、外部からの不正侵入を検知できない状態を放置していたり、社員が他人のIDカードで中央制御室に入ったりする問題が相次いで発覚した。
規制委は21年4月、原子炉等規制法に違反したとして核燃料の移動を禁止する是正措置命令を出していた。
事務局の原子力規制庁はのべ4千時間以上にわたって改善状況を確認する検査を実施し、今月6日には課題が改善されたとの報告書案を公表。規制委はこの報告書案に加え、11日に山中伸介委員長らによる現地調査を実施。20日には東電社長と面談していた。
再稼働には、新潟県などの「地元同意」が必要。規制委の判断を受け、今後は花角英世・新潟県知事の同意が焦点となる。
ただ、花角氏は「県民の信を問う」と述べるにとどめ、態度を明らかにしておらず、信を問う手法も表明していない。また、同意の前提となる避難計画の策定もできていない。
一方、原発再稼働を加速させる岸田政権は、年明けから地元自治体向けに説明会を開いて理解を求めていく。最大10億円受け取れる交付金など、財政支援も含めて同意を取り付けたい考えだ。
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