(EYE モニターの目)今月のテーマ:国会論戦
■もっと怒っていいのでは
党首討論の結果を報じた6月10日の朝刊では、議論として成り立っていなかった点を指摘していたものの、全体としては中立の意識が強いためか、かなり冷静なトーンだった。でも、もっと怒っていいのでは? 言いたいことを言うだけで終わってしまっているのは由々しき事態。他の先進国では容認されないのではないか。それを是正するのは社会全体の課題だが、新聞社にも、機能不全を追及したり他国の事例なども引き合いに改善策を提唱したりすることを期待している。(尾崎悠介 36歳 千葉県)
■一問一答載れば理解深まる
6月10日の朝刊は、要領よくまとめすぎてしまった感もある。ここは一問一答、双方のやりとりを載せてもよかった。紙面は食うし、読むほうも大変だが、聞かれたことにきちんと答えているのは誰か、判断しやすくなる。首相の「前回の東京五輪の話」が討論に必要だったのか、ただの思い出話なのかを判定するにも、前後のやりとりが分かったほうがよさそうだ。同日社説の「首相の言葉が響かない」も、双方の言葉の記録を読み返せればより理解が深まるのではないか。(清藤祐一 60歳 神奈川県)
■過去のエピソードも詳報を
今回ほど党首討論を気にしたことはなかった。新型コロナウイルスや五輪をめぐる現政権の説明なき対応の数々に、有権者としてスルーできなくなっているからかもしれない。6月10日の朝刊は、2面にカラーの図表もあり、分かりやすかった。首相が質問に答えず自説を展開する流れはおなじみという印象だ。子育てに追われニュースを見られない時期もあったので、党首討論が政治の流れを大きく変えたケースなど、過去のエピソードについても詳しく教えてほしい。(井本綾子 43歳 神奈川県)
■要点を絞った掲載、今後も
国会では論戦が繰り広げられているが、テレビのチャンネルを変えてしまうことが多い。コロナ対策や五輪などひとごとでない議題にもかかわらず、議論の内容を知る度に、国会への尊敬と興味が薄れていく。質問に対して、的確でない答えを長々と話す。熱意が感じられない。新聞では、1面に大きな見出しと内容が記載されており、意識せずとも目に飛び込んでくる。今の政治についての動きは、新聞のみで得ている。今後も、重要な内容を要点を絞って掲載してほしい。(森谷優香 21歳 埼玉県)
<「自分事」と捉えられる報道めざして>
国権の最高機関たる国会の論戦を丹念に取材し、できるだけ多くの論点や課題を伝えることこそ政治報道がなすべき柱の一つだと考えています。冷静に過ぎるというご指摘は率直に受け止め、今後に生かしていきたいと思います。
それには、政治家が発する言葉の一つひとつに、できるだけ敏速に鋭く反応すること。どれだけの事実に基づいた発言なのか。国民や有権者に対して、どこまで説明責任を果たしていると言えるのか。まっとうな追及や批判はなされているのか。デスクやキャップ、そして現場の記者それぞれがこだわっているところです。
紙面に限りもあることから、党首討論など論戦の一問一答まで伝え切れていない点は、もどかしく感じています。一方で、朝日新聞デジタルで発言の詳細を伝えたり、当日の流れを時系列に相次いで速報したりする「国会タイムライン」という取り組みも始めています。
選挙権を得たばかりの若年層や、国会の論戦には興味や関心を持ちにくいという方々。こうしたみなさまにも、それぞれが「自分事」として捉えていただけるような政治報道をめざして、論戦には引き続き熱い思いで向き合っていきます。(政治部長・坂尻顕吾)
◇東京本社発行の朝刊、夕刊の最終版をもとにしています
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