(書評)『小説 火の鳥 大地編』(上・下) 桜庭一樹〈著〉 手塚治虫〈原案〉

有料記事書評

 ■歴史改変の魔力に溺れる愚かさ

 手塚治虫『火の鳥』シリーズには、書きかけの構想のみ残る「大地編」がある。本作はその遺稿を元に書かれた長編小説だ。

 1938年。日中戦争の勝利に湧く上海の街で、現地日本人による豪奢(ごうしゃ)な夜会が開かれている。バンドの音楽。女たちのダンス。きらびやかな夜のはじ…

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