【詳報】春闘2025 賃上げの「定着」になるか、大企業の回答は?
労働組合と経営側が賃上げなどについて交渉する「春闘」が始まりました。賃上げの「定着」につながるのか、労使交渉の行方が注目されています。大企業からの回答が集中する3月半ばまで、春闘や賃上げの動きをタイムラインでお伝えします。
【ビジュアル解説】春闘 なぜ今注目?
毎年2~3月にかけ、「春闘」が盛り上がりをみせます。そもそも春闘とは何なのでしょうか? その歴史は? 日々の生活との関係は? 春闘についてイラストを交えて解説していきます。
■■■3月14日■■■
16:00
JR九州、ベア1万5528円 若年層に手厚くする方針
JR九州は、55歳未満の一般職の平均で、ベースアップ(ベア)月1万5528円(5.6%)とすると発表した。定期昇給分の月4166円(1.5%)を合わせ、全体で月1万9694円(7.1%)の賃上げになる。夏季手当は2.6カ月分を支給し、一時金25万円も併せて支給する。
ベアは若年層に手厚くする考え方で、年齢に応じて1万5千~1万8千円の幅を持たせるという。最大労組の九州旅客鉄道労働組合は、1万5千円のベアと諸手当などを含めて平均6%以上の賃上げ、夏季手当3.0カ月などを要求していた。
一律に支給する25万円の一時金は、2024年度まで3年間の中期経営計画の目標が達成見込みとなったことに対し、従業員への感謝の意を込めたものだという。
14:00
全労連、賃上げ平均2.70%
今年の春闘について労働組合の中央組織・全国労働組合総連合(全労連)は、会社側の回答の初回集計を発表した。13日までに回答した359組合分の賃上げ(定期昇給を含む)の平均は2.70%(月7028円)で、前年同期より0.18ポイント増えた。
黒沢幸一事務局長は会見で「このままでは物価高による実質賃金のさらなる低下を逃れられない水準で、大幅な上積みを求めて交渉していく」と話した。
■■■3月13日■■■
17:45
日本郵政グループ、ベア1万円 民営化後で最大
日本郵政グループは、ベースアップ(ベア)を社員1人あたり1万円にすることで労働組合側と妥結した。郵政民営化後で最大だった前年の5100円を大きく上回った。ベア分の賃上げ率は正社員の月給の3.12%にあたる。定期昇給も含めると5%の賃金改善になる。
一時金はゆうちょ銀行が4.4カ月分、日本郵政と日本郵便、かんぽ生命の3社は4.3カ月分とした。
日本郵政グループ労働組合(組合員約22万人)は国内最大の単一労組。労組は正社員の月給で平均1万5千円のベア、一時金は4.6カ月分を要求していた。
17:40
九州電力、ベア1万3千円 初任給は3年連続引き上げ
九州電力は、1万3千円(30歳のモデルケース)のベースアップで、労働組合と妥結したと発表した。定期昇給を含む賃上げ率は平均4・7%になる。
労働組合はベア1万2千円の引き上げを求めていた。妥結額は若年層ではそれを上回る一方、全体でみるとやや下回る水準だという。年間一時金は満額回答の4.63カ月で、過去最高だった。初任給も3年連続の引き上げで、2025年度から大卒で2万円増の25万円にする。
13:30
パートの賃上げ6.53%、過去最高 UAゼンセン集計
流通や外食、繊維などの労働組合でつくる産業別組織のUAゼンセンは、今年の春闘の平均賃上げ率(1次集計)を発表した。定期昇給と基本給を底上げするベースアップ(ベア)を合わせ、パート従業員の賃上げ率(時給)は6.53%だった。1次集計時点では昨年の6.45%を上回り、2012年の産別結成以来、最高となった。
パート従業員については95組合分(約50万人)、正社員については139組合分(約26万人)を1次として集計。正社員の賃上げ率は5.37%で、昨年の1次集計の5.91%から下がった。このうちベアは、明確にわかる107組合で3.75%だった。全体の139組合のうち46組合が満額、14組合が労組の要求を上回る回答だった。
10:35
楽器のヤマハ、ベア1万5千円 要求下回るも過去最高
楽器大手のヤマハは、賃金体系を底上げするベースアップを1万5千円とする回答を労働組合に示し、発表した。1万7千円の要求には満たないとはいえ、過去最高の賃上げとなる。年間一時金は、満額回答の年5.2カ月分。
中国でのピアノ需要の低迷で経営環境は厳しいが、山浦敦社長は「経済の好循環に向けた企業の役割や物価上昇を考慮した」とコメントした。
初任給は、大卒で26万3千円、高卒で21万3千円と、それぞれ1万3千円ずつ引き上げる。
■■■3月12日■■■
18:34
すかいらーくHD、賃上げ平均2万3375円 3年連続の満額回答
すかいらーくホールディングス(HD)は、4月からベースアップと定期昇給を合わせて平均2万3375円賃上げすることで労働組合と妥結したと発表した。賃上げ率は約6.5%となり、昨年の6.22%を上回った。
労組の要求に対して満額回答になる。満額回答は3年連続。同社は賃上げの理由について「『人財』による成長こそが最大の成長戦略と考え、人的資本投資を積極化」などとしている。賃上げの対象は、すかいらーくHDと、すかいらーくレストランツの正社員計約4340人になる。
18:30
スズキ、要求上回る回答 賃上げ2万1600円
スズキは、今年の春闘で、ベースアップと定期昇給を合わせた2万1600円の賃上げを労働組合に回答したと明らかにした。労組要求の1万9千円を上回る。年間一時金は要求通りの年間6.6カ月分で、過去最高だった昨年の6.2カ月を上回る。
同社は、要求を上回る回答について「チームスズキが一人ひとりの能力を向上させる期待値」と説明した。
17:30
パナソニックグループ労組、福沢会長「一定の回答を得た」
パナソニックグループ労働組合連合会は、今年の春闘で、会社側からの回答を受けて会見を開いた。福沢邦治会長は「物価上昇率を上回っており、一定の回答は得た。昨年実績は過去最高の回答で、累積的に上がることからすると、目的は達成している」と述べた。
パナソニックホールディングスは、今年の春闘で、月1万3千円のベースアップ(ベア)を回答したと発表。組合員平均では、ベアだけで3.33%の昇給になる。要求の1万7千円は下回った。
福沢会長は、同じ電機連合の日立製作所やNECなどで満額回答が出ていることについては、「客観的に見れば、競合他社と比べ収益性では劣後している。私たちも生産性を高めて、成果の配分を求めていかないといけない」と話した。
16:50
経団連・十倉会長「上々のスタートだ」
経団連の十倉雅和会長は記者会見で、大手企業の集中回答の状況について、「上々のスタートだと認識している」と評価した。満額回答や昨年を上回る水準の回答が相次いだこと、ベースアップ(ベア)を重視した回答が多いことを前向きに評価し、「(賃上げが)定着しそうだというのが確信に変わってきた。中小企業の結果をどきどきしながら、期待をもって待っている」と話した。
16:00
ニトリ、賃上げ平均2万1114円 22年連続ベア
家具販売大手のニトリホールディングスは、事業会社ニトリがベースアップと定期昇給を合わせて平均2万1114円の賃上げで労働組合と妥結したと発表した。対象は総合職社員約5千人。
労組は2万4325円を要求していた。平均賃上げ率も5.51%で、昨年の6.00%を下回った。ベアは22年連続となる。
新卒社員の初任給も引き上げる。大卒の初任基本給は2万円上がり、29万円となる。アルバイトの時給も平均5.00%(58.5円)引き上げ、他の雇用形態やグループ会社の社員も合わせて賃上げするという。
16:00
トヨタグループ、13社で満額回答
トヨタ自動車グループの労働組合でつくる全トヨタ労働組合連合会は、午後3時までに回答を受けた少なくとも13組合すべてで、賃金と一時金の要求に対し満額回答だったことを明らかにした。
これまでに回答したのはトヨタ自動車のほか、デンソー、豊田自動織機、トヨタ車体などの比較的規模の大きな車体、部品メーカーが中心。いずれも過去最高水準の賃上げになるという。
グループ内では、大手部品メーカーのデンソーやアイシンが、集中回答日を待たずに満額回答を公表した。要求日前には、トヨタや部品大手と、各社の組合をまとめる全ト労連や自動車総連が、2次以下の取引先まで賃上げを波及させることについて意見交換を行った。
全ト労連の吉清一博事務局長は「影響力の大きな労使が議論を尽くした上でメッセージを発することで、大きな波及につながるのではないか」と評価した。
15:30
JT、賃上げ平均5.06% 要求を上回る回答で過去最高
日本たばこ産業(JT)は、定期昇給含めて平均5.06%の賃上げで労働組合と妥結したと発表した。基本給は改定せず、4月の定期昇給額に一律で1万3千円を加算する。JTによると、労組の要求以上の回答だという。
定期昇給以外の賃上げは2年連続。金額は昨年より500円多く、過去最高となる。
対象は正社員約6千人。正社員以外では、契約社員に10万2千円、アルバイトに6万9千円の一時金を4月に払う。
賃上げの理由について、同社は「物価の高止まりなどへの対応、競争力の源泉となる優秀な人材の獲得、そして足元ならびに将来の成果創出に向けた期待を込めた」としている。
15:30
NTT主要6社、満額回答 ベア1万2千円、過去最高
NTTは、今年の春闘でドコモや東日本、西日本などグループ主要6社について、過去最高の1万2千円のベースアップ(ベア)で労働組合と妥結したと明らかにした。ベア分の賃上げ率は約3.1%で、労組の要求通りの満額回答となった。ベアは12年連続。
また、同社はグループ内の10社で、来年4月に入社する新卒社員の初任給についても、大卒の標準ケースで2万5千円程度引き上げ、30万円以上(住宅補助費含め34万円以上)の水準にすると発表した。
15:15
ダイハツ、満額回答 賃上げ2万1200円
ダイハツ工業は、今春闘で、労働組合が要求した賃上げや一時金に満額回答したと発表した。ベースアップと定期昇給を含む賃上げ額として月2万1200円、年間一時金は5.4カ月分を回答した。
また、組合側が求めていた2024年以前に入社した若手社員の賃上げについても応じる。25年に入社する新卒の初任給を引き上げたため、24年以前に入社した若手社員と、給与が逆転しかねない状況になっていた。
ダイハツは23年12月に、車両の認証試験をめぐる大規模な不正を公表。国内の完成車工場を一時停止した。昨年の春闘ではベアを要求しなかったが、会社側は月2千円を回答していた。
15:10
三菱自動車、賃上げ1万7千円 要求下回る
三菱自動車は、ベースアップと定期昇給を合わせた1万7千円の賃上げを労働組合に回答したと発表した。労組は1万9千円を求めていた。一時金は5.7カ月分の要求に対して、回答は5.0カ月分となった。
同社は「極めて厳しい経営環境にあっても、物価上昇が従業員に与える影響を踏まえて必要な手当てを行うことは企業としての社会的責任であり、現時点で当社として取り得る最大限の対応とした」とコメントしている。
15:00
金属労協、賃上げ平均1万4566円
自動車や電機など主要製造業の産別組織でつくる金属労協は、今年の春闘でベースアップ相当分の平均回答額が、午後1時時点で1万4566円(前年は1万4638円)だったと発表した。
金子晃浩議長は「中央値ならややプラス。満額が当たり前と思われているかもしれないが、過去からするとそんなことはない」と成果を強調した。
14:00
餃子の王将、要求上回る回答 賃上げ3万139円
「餃子の王将」を展開する王将フードサービスは、今年の春闘で、ベースアップと定期昇給で3万139円を回答したと発表した。労働組合の要求は2万2200円で、要求を大きく上回った。
会社側は「人的資本への投資に加えて、デフレから脱却し、日本経済の好循環の実現に寄与する狙いもある」と説明した。
また、初任給は大卒は2万1500円引き上げて30万円に、専門校卒は3万7500円引き上げて27万8500円とした。
13:30
マツダ、賃上げ1万8千円 4年連続の満額回答
マツダは今春闘で、労働組合が要求した賃上げや一時金に満額回答したと発表した。
定期昇給とベースアップを含む賃上げについては、月1万8千円で回答した。賃上げの満額回答は4年連続で、回答額も過去最高となる。年間一時金(ボーナス)については年間5.4カ月分を回答した。
マツダは「大幅な処遇改善の財務的影響は決して軽いものではないが、国際競争力維持や地域経済への影響なども熟慮した」としている。
13:30
ヤマハ発動機、ベア1万3千円 満額ならずも過去最高
ヤマハ発動機は、1万3千円のベースアップを回答したと発表した。賃上げ率は3.7%。労働組合の要求は1万3600円だった。満額ではないとはいえ、過去最高の賃上げとなる回答だ。
2024年12月期決算は、純利益が前年比3割減と厳しいが、会社側は「物価上昇や社会的責任として賃上げの流れを止めないという視点も踏まえ、最大限の回答をした」とコメントした。労組側は「精いっぱいの回答が得られた」と評価し、地域やグループ各社への賃上げの波及に期待感を示した。
13:20
東レ、1961年以来の満額回答 ベア1万3610円
東レは、1万3610円のベースアップ(ベア)を労働組合に回答した。ベア分の賃上げ率は4.0%で、労組の要求通りの満額回答となった。満額の回答は1961年以来となる。
経営側は「業績実態と世間水準、社会的要請を踏まえ、人材の確保および従業員のモチベーション向上に資する水準として決定した」としている。
13:05
ホンダ、ベア8500円 要求下回る 一時金は満額回答
ホンダは、8500円のベースアップ(ベア)を労働組合に回答したと発表した。労組の要求額は昨年から微減の1万3千円だった。
労使交渉に当たった青山真二副社長は「『物価上昇を上回る対応』に加えて、更なる頑張りに期待する」とのコメントを出した。
一方、一時金は満額回答となる6.9カ月分だった。青山氏は「『今年度の業績に貢献する職場の頑張りに報いる』という考え方で満額で回答した」とした。
13:00
パナソニックHD、ベア1万3千円 要求下回る
パナソニックホールディングスは、今年の春闘で、月1万3千円のベースアップを回答したと発表した。労働組合が要求した1万7千円は下回った。
また、初任給は大卒で1万9千円引き上げ、26万9千円とした。
13:00
安川電機、ベア1万5千円 1998年以降で最高額
安川電機(北九州市)は、月1万5千円のベースアップを労働組合に回答したことを明らかにした。労組が要求した1万7千円は下回ったが、比較可能な1998年以降では最高額だという。定期昇給込みでは月約2万2千円で、賃上げ率は約7%になるという。
13:00
日立、NEC、富士通は満額回答 ベア1万7千円
電機大手の日立製作所、NEC、富士通の3社は、各労働組合の要求通り、月1万7千円のベースアップ(ベア)を回答した。満額回答は日立とNECが4年連続、富士通が3年連続。3社とも、現行方式となった1998年以降で過去最高額となった。
日立で人事部門を統括する滝本晋理事は「ここ2年続いてきた賃上げの機運を定着させるため、今年は特に重要な年。地政学的リスクや経済の不透明感は確かに高まっていると思うが、ただ、それをはね返すぐらい我々が強くなるためには人に投資しようという考え方で(賃上げを)している」と話した。
13:00
シャープ、昨年を上回る賃上げ 労組試算でベア1万2千円相当
シャープは、昨年を上回る給与改定を実施すると労働組合側に回答したと発表した。会社側は具体的な賃上げ額を公表していないが、組合側の試算では月1万2千円相当のベースアップになるという。要求額の1万7千円を下回った。
また、初任給は大卒で1万8千円引き上げ、26万9千円とした。労組側の要求を5千円上回った。
12:17
日本製鉄、ベア1万2千円 要求には届かず
日本製鉄は、1万2千円のベースアップ(ベア)を労働組合に回答したと発表した。ベア分の賃上げ率は3.6%。労組が要求した1万5千円(4.5%)には届かなかった。
11:30
東芝、最高水準のベア1万4千円 要求は下回る
東芝は、今年の春闘で、月1万4千円のベースアップ(ベア)を労働組合に回答したと発表した。労働組合が要求した1万7千円は下回ったものの、過去最高水準という。
11:15
トヨタ自動車、最高水準の要求に満額回答
トヨタ自動車は、今年の春闘で、労働組合からの賃上げと年間一時金(ボーナス)の「最高水準」の要求に、満額で応じた。満額回答は5年連続。業績が比較的好調な中、長引く物価高騰や人手不足を踏まえ、安心感を持って働ける環境づくりを重視した。
ただ、賃上げと賞与の配分については今後の話し合いで決めていくという。記者会見を開いたトヨタの東崇徳総務・人事本部長は「働いているメンバーの実質賃金をしっかり守り、不安なく働いてほしい」と述べた。
11:00
重工3社、満額回答 ベア1万5千円
重工大手3社(三菱重工業、川崎重工業、IHI)は、労働組合の要求通りとなる1万5千円のベースアップ(ベア)を行うと発表した。満額回答は各社とも3年連続。
年間一時金は、業績連動の川重を除き、三菱重工、IHIともに6.5カ月と回答した。
IHIではこのほか、60歳以上の週休3日制度を導入し、賃金減額制度を廃止する。
11:00
JFEスチール、満額回答 賃上げ率4.6%
JFEスチールは、1万5千円のベースアップ(ベア)を労働組合に回答したと明らかにした。ベア分の賃上げ率は4.6%。労組の要求通りの満額回答となった。
10:30
日産自動車、賃上げ1万6500円 要求下回る
日産自動車は労働組合に対して、平均月1万6500円の賃上げで回答したと発表した。賃上げ率は4.5%。労組の要求額は昨年と同じ、過去最高水準となる1万8千円だったが、満額回答とはならなかった。
また、一時金は労組の要求と同じ5.2カ月分で、満額回答した。昨年は要求の5.8カ月分に対して満額回答だった。今年は足元の業績悪化を受けて、労組側が要求水準を引き下げていた。
09:55
三菱ケミカル、満額超え回答 ベア1万8415円
三菱ケミカルは、1万8415円のベースアップ(ベア)を労働組合に回答したと発表した。ベア分の賃上げ率は4.8%。労組要求の4.0%(1万5346円)に対して満額超えの回答となった。
09:00
三菱電機、過去最高水準のベア1万5千円 要求は下回る
三菱電機は、今年の春闘で、月1万5千円のベースアップ(ベア)で労働組合と妥結したと発表した。労働組合が要求した1万7千円は下回り、満額回答とはならなかったが、現在の交渉方式となった2008年以降で最高水準という。
■■■3月11日■■■
16:30
JR西、ベア1万3684円 奨学金返還支援制度も導入へ
JR西日本は、4月分の給与から平均で月1万3684円のベースアップ(ベア)を行うと、労働組合側に回答した。労組側は、月1万5千円のベアを要求していた。定期昇給などを含む賃上げ額は、平均1万9293円で、賃上げ率は6.01%という。
ベアは月1万2200円の一律引き上げ額に、勤務地手当などを加味した。期末手当は年2回で、基本給と諸手当の計5.3カ月分を支給する。
また、優れた人材の確保を目的に「奨学金返還支援制度」を10月から導入する。2016年4月以降に入社した社員が、大学などで日本学生支援機構の返済義務のある奨学金を借りていた場合、会社側が年5万円を最長10年支援する。
16:00
JR東海、ベア8千円 前年上回り過去最高額
JR東海は、4月から基本給を8千円ベースアップ(底上げ)すると発表した。前年の7千円を上回り、過去最高額となる。最大労組の「JR東海ユニオン」は1万2千円を要求していた。
春闘とは別に労使で交渉し、東京地区以外の勤務者について「調整手当」を5千円引き上げたことや子ども手当を新設したことなどによる諸手当の改善分を含むと、賃金改善の原資は1人あたり1万4100円。定期昇給を含む賃上げ率は5.5%に達するとしている。
6月に支給する夏季の一時金(ボーナス)は3.05カ月分で前年(3カ月分)を上回る。年末の一時金は別途交渉する。同社は「引き続き社員には、リニア中央新幹線をはじめとした施策の推進に邁進(まいしん)することを期待する」とコメントした。
15:00
JAL、ベア1万円 前年を2千円下回る、「継続的に賃上げするため」
日本航空(JAL)は、4月分の給与から月1万円のベースアップ(ベア、賃金改善)を実施すると労働組合に回答した。賃上げ率はJALグループの一般職で3.1%、定期昇給分を含むと5.1%になる。
最大労組のJAL労働組合は月1万2千円のベアを要求していた。ベア回答額は要求を下回り、昨年と比べても2千円少ない。JALは「継続的、安定的に賃上げをしていくために、物価の状況を踏まえ、総合的に判断した」としている。
賃上げのほかには、リスキリング(学び直し)のための最長3年の休職制度を設けることなども労組に通知した。
■■■3月10日■■■
19:15
日本ガイシ、満額回答ベア1万8800円 例年より早い回答
日本ガイシ(名古屋市)が、月1万8800円の賃金改善(ベースアップ)を求めた労働組合に満額回答した。定期昇給分を含めると、賃上げ率は6.5%。過去最高だった昨年の1万7700円を上回る。大卒初任給も2万2千円引き上げ28万5千円とする。
例年は集中回答日以降に妥結することが多かったが、「今回は労使双方の理解が早く進んだ」(広報)。売り手市場の中、採用競争力を高めることも意識したという。
19:00
賃上げ「昨年の勢いで」、首相念押し ムード維持に躍起
春闘の集中回答日を前に、政府は経済財政諮問会議で、専門家を呼んで賃上げ策を練る「特別会合」を開いた。石破茂首相は「昨年の勢い」での大幅な賃上げを改めて労使に呼びかけた。
賃上げの「特別会合」は、昨年11月に続いて2回目。物価の研究で知られる渡辺努・東大大学院教授らを招いて非公開で議論した。首相は最後のあいさつで「賃上げこそ成長戦略の要。力強いモメンタム(勢い)を定着させる」と決意を示した。
首相は昨秋に、労使に対し、今春闘での前年の勢いでの賃上げを要請済みだ。それでも賃上げムードの維持に躍起になる背景には、物価高が再燃し、消費者の春闘への期待がしぼむことへの危機感もある。
16:00
電機連合、ベア「月1万円以上」を最低水準に
電機メーカーの労働組合でつくる電機連合は、今年の春闘で要求している、基本給を底上げするベースアップ(ベア)相当分について、主要労組では「月1万円以上」を妥結の最低水準とする方針を決めた。物価高などを踏まえて、比較できる1998年以降で最高だった前年と同水準とした。
電機連合は、主要労組がベアの要求額をそろえる統一交渉を慣例とする。今春闘では、ベア相当分の要求目標を「月1万7千円(5%程度)以上」とし、主要12組合が同じ額を要求している。12日に経営側から回答を受ける予定だ。
電機大手では事業構造や業績に違いがあるため、電機連合は妥結額に差が出ることを容認している。一方、「歯止め基準」とも呼ばれる妥結額の下限を定め、下回った場合に各労組がストライキに踏み切るかどうかの判断基準としている。
15:00
第一生命HD、賃上げ平均7%で妥結 国内約5万2千人が対象
第一生命ホールディングスは、定期昇給とベースアップなどを合わせて、4月に国内社員の賃金を平均7%引き上げると発表した。営業職員も含めた約5万2千人が対象となる。
この賃上げには、「過去30年で最大級」という一律1万円のベアも含まれる。営業職員は成果による報酬の割合が大きいため、ベアのような対応は通常していないが、「昨今の物価高による生活費などへの影響などを総合的に勘案した」(同社)という。
■■■3月7日■■■
16:00
JR東、ベア1万3782円 会社発足以降で最高
JR東日本は、4月分の給与から平均で月1万3782円(3.9%)のベースアップ(ベア、賃金改善)を実施すると発表した。ベア額は同社発足以降、最高という。最大労組のJR東労組は月1万5千円のベアを求めていた。
定期昇給と合わせた賃上げは平均で月2万171円となり、これも過去最高という。会社側は「足元の業績や中長期的な経営見通し、生産性向上に向けた取り組みの進捗(しんちょく)を踏まえるとともに、物価等の生活実態などを総合的に勘案した」とコメントした。
夏季手当は2.8カ月分の支給で回答した。JR東労組は3.2カ月分を要求していた。
15:00
日商会頭「中小は5%の賃上げ期待」 連合と会談
春闘が本格化するなか、日本商工会議所の小林健会頭と労働組合の中央組織・連合の芳野友子会長が、東京都内で会談し、賃上げの実現に向けて協力することで一致した。会談後、小林氏は中小企業の賃上げについて「5%の賃上げを期待したい」と述べた。
会談では、連合が集計した中小労組の賃上げ要求について、小林氏が「良い数字が上がってきているようで、プレッシャーを少しいただいている」と述べた。芳野氏は「賃上げの流れを働く全ての仲間に波及させるには、今がまさに踏ん張りどころだ」と応じた。
連合が6日に公表した賃上げ要求の平均は、300人未満の中小労組で6.57%と、30年ぶりに6%を超えた。連合は今春闘で、中小の賃上げ目標について、大手との格差是正分(1%以上)を上乗せして「6%以上」とする方針を掲げている。
昨春闘の賃上げ率は、連合の最終集計で中小が4.45%と、大手の5.19%を下回っていた。小林氏は6日の会見では、中小の賃上げ率について「総合してみると4%半ばくらいが妥当な線ではないか」と発言。だが、7日の連合との会談後、記者団に「(連合の要求集計が)あそこまで(高く)出ると思わず、ちょっと驚いた」と語り、高水準の回答が広がることに期待感を示した。
■■■3月6日■■■
16:00
賃上げ要求平均が32年ぶり水準 平均6.09% 連合集計
労働組合の中央組織・連合は、今春闘の賃上げ要求について、傘下組織の平均が6.09%だったと発表した。物価高が続き、人手不足も深刻になるなか、前年を0.24ポイント上回った。6%を超えるのは1993年(7.15%)以来32年ぶり。
3日正午までに要求した2939組合分をまとめた。集計には年齢や勤続年数に応じた定期昇給(定昇)なども含まれる。物価高への対応として重要なベースアップ(ベア)分は、明確に分かる2454組合の平均が4.51%で、前年から0.21ポイント上がった。
15:30
ゼンショーHD、11.24%賃上げ 初任給は31万2千円に
牛丼チェーン「すき家」などを展開する外食大手のゼンショーホールディングス(HD)は、正社員の賃金を4月から定期昇給とベースアップを合わせて平均11.24%引き上げると発表した。新卒(大卒)初任給も3万4千円増の31万2千円に改定する。同日の労使交渉で妥結した。
ベアは13年連続(今春闘は7.68%)。定昇を含む賃上げ率11.24%は昨春闘の12.20%を下回ったものの、2年連続で2ケタ増となった。月あたりの増額は1人平均4万7390円で過去最高だという。
一方、契約社員やアルバイトを含む国内のグループ従業員約20万人を対象に、新たな福利厚生制度を4月から導入する。勤務実績に応じて年間最大1万円分のポイントを与えるもので、グループ店舗での食事が割引される。
ゼンショーHDは「外食のリーディングカンパニーとして継続的な賃上げを進め、従業員の定着も図っていきたい」(広報)としている。
■■■3月5日■■■
18:00
サントリーHD、ベア1万2千円で回答 定昇含め7%は3年連続
サントリーホールディングスは、4月分の給与から月1万2千円のベースアップ(ベア、賃金改善)をすると発表した。労働組合は1万4千円を要求していた。対象は同社社員と、傘下のサントリー食品インターナショナルの社員計約8600人。定期昇給分と合わせた賃上げ率は、管理職を除く一般社員で平均約7%となり、3年連続で同じ水準という。
新浪剛史社長は「物価上昇が続き、不確実性が増す厳しい経営環境の中でも、社員に対して、安心してイキイキと働いてほしいという願いと生産性の更なる向上や新たな価値創造に一層挑戦してもらいたいという期待を込めた」との談話を出した。
16:40
味の素、ベア1万6千円で満額回答
味の素は、4月分の給与から1万6千円(平均約4%)のベースアップ(ベア、賃金改善)を実施すると発表した。労働組合からの要求に満額回答し、妥結した。ベアは3年連続で金額は昨年より2千円多い。定期昇給分と合わせると2万4千円(約6%)超の賃上げになる。対象は正社員約4千人。
各地の工場などで働くアルバイトなどの非正規社員計約390人も4.0%以上の賃上げをするという。同社は賃上げの理由について「『人財資産』への投資強化によりエンゲージメント(従業員の会社に対する愛着や関わり)を高めていくことが、企業価値の向上において不可欠だ」としている。
10:30
UAゼンセン、パート時給の要求平均82円 過去最高
繊維や流通、外食などの労働組合でつくる産業別労組「UAゼンセン」は、今年の春闘でパート従業員の賃上げ要求(加重平均)が、時給で82.0円、引き上げ率で7.16%だったと発表した。前年の同時期を6.1円上回り、過去最高の要求額だった。
また、正社員の賃上げ要求(同)は月1万8881円(6.11%)だった。
■■■3月3日■■■
14:00
JAM、賃上げ要求平均1万4066円 1999年の結成以来、過去最高
中小製造業などの労働組合でつくる産業別組織JAMは、今年の春闘で傘下組織による賃上げ要求の平均が月1万4066円だったと発表した。前年同期を2373円上回り、1999年の結成以来、過去最高だった。
組合員300人未満の中小労組でも、月1万3905円で、前年同期を2295円上回り過去最高だった。中小が賃上げ原資を確保するのに必要な価格転嫁について、安河内賢弘会長は会見で「まだまだ道半ばで入り口に立ったところだが、少しずつ進んでおり、中小の労組に勇気を与えてくれている」と話した。
■■■2月28日■■■
14:00
ANA労組、ベア3.5%を要求 定率での要求方法に変更
全日本空輸(ANA)の最大労組「ANA労働組合」は、賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)について、一律3.5%を要求した。労組側が明らかにした。
昨年までと異なり、今年は「定額」ではなく「定率」でベアを求めた。定額だと賃金が上がるにつれてベアの引き上げ幅は縮まるため、組合員全体がより公平に恩恵を受けられるよう、定率での要求方式に変えたという。
ANA労組はベア相当額を公表していないが、上部団体の産業別組織「航空連合」が今春闘で求める「月1万2千円」は超えるとしている。このほか航空機の客室乗務員に支払われる職務調整手当の「月1千円」の引き上げも求めた。
年間一時金については具体的な要求はしなかった。ANAは2024年度の年間一時金について、当初より1カ月分上積みし、7.2カ月分を支給すると労組に提案している。こうした会社側の社員還元の姿勢を踏まえたとみられる。
■■■2月27日■■■
19:30
春闘機運盛り上げへ、1700人が行進 連合
今年の春闘の労使交渉が本格化するなか、賃上げ機運を盛り上げようと、労働組合の中央組織・連合の関係者約1700人が、賃上げを訴えながら都内を行進した。日比谷公園(東京都千代田区)から約1.8キロメートルを、今春闘の連合のスローガン「みんなでつくろう!賃上げがあたりまえの社会」と書かれた横断幕を掲げて歩いた。
行進に先立ち、日比谷公園大音楽堂で開かれた中央集会で、芳野友子会長は「賃上げの流れを働く全ての仲間に波及させ、(経済も賃金も物価も安定的に上昇する経済社会への)新たなステージを定着させるには、今がまさに踏ん張りどころだ」と訴えた。
12:30
金属労協、賃上げ要求平均1万4149円 2014年以降で最高
自動車や電機など主要製造業の産別組織でつくる金属労協は、今年の春闘で傘下組織による賃上げ要求の平均が月1万4149円だったと発表した。物価高や人手不足を背景に、前年同期を1757円上回り、比較可能な2014年以降で最高だった。
金子晃浩議長は会見で、要求が高水準となったことについて「金属労協の賃上げの統一要求額について、今年は引き上げのベクトルを前年に比べて上に向けた方針を掲げたが、その狙いに沿った要求だ」と話した。
■■■2月26日■■■
14:55
サッポロビール、満額回答ベア1万5千円 1978年以来最高
サッポロビールは、4月分の給与から月1万5千円のベースアップ(ベア、賃金改善)をすると発表した。労働組合からの要求に満額回答し、妥結した。ベアは3年連続。金額は昨年より3千円多く、会社と労組の直接交渉が始まった1978年以来で最も高いという。定期昇給分を合わせて平均で6.4%の賃上げとなる。
対象は社員約2400人。同社は賃上げの理由について「物価高騰により社員の生活に直接的な影響が生じている経済環境、賃上げの必要性が高まっている社会情勢を考慮し、企業としての社会的責務を果たすため」としている。
■■■2月25日■■■
15:35
イオンリテール、パート時給7.07%引き上げで妥結
繊維や流通、外食などの労働組合でつくる「UAゼンセン」は、流通大手イオンの中核子会社イオンリテールが、パート従業員の時給を7.07%(実額81円)引き上げることで妥結したと発表した。引き上げの対象は約7万人で、3年連続で7%超の賃上げとなった。労組の要求に沿った満額の回答だったという。
正社員についても、賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた賃上げ総額は平均5.34%(同1万7319円)で妥結した。ベアなどは4.01%(同1万2989円)だった。
UAゼンセンによると、同社のほか、小型スーパー「まいばすけっと」などを展開するイオングループの3社も組合要求に対して満額回答して妥結した。
14:30
オリエンタルランド、平均6%賃上げへ
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、契約社員やアルバイトを含む従業員の賃金を4月から平均約6%引き上げると発表した。労働組合と交渉して決めたといい、労組側の要求内容は明らかにしていない。賃上げは3年連続となる。
対象者は2万6600人。アルバイトの時給は一律で70円上げ、1320~1670円とする。また、2025年度の新入社員の初任給は一律1万7千円上げる。引き上げ後、大卒・大学院卒の初任給は27万2千円となる。
同社は「当社グループの最大の財産は『人』であり、従業員一人ひとりが自らの力を最大限発揮し、安心して働ける環境を整えることが事業成長に欠かせない」としている。
■■■2月21日■■■
16:00
JR東海、勤務地による賃金差解消へ 単身赴任手当も増額
JR東海は4月、勤務地によって支給する「調整手当」について、東京以外の地域を今より5千円引き上げて2万円とする方針だ。これで東京を含めて全国一律で2万円となり、旧国鉄時代から続く地域差が解消される。
調整手当は、旧国鉄時代からの「都市手当」を引き継ぐ形で、2006年度に設けられた。22年度までは東京2万円・大阪1万円だったが、23年度に東京・大阪以外も1万円に増額。24年度には東京以外を1万5千円に引き上げた。
住宅価格や物価の違いなどが手当の金額差の根拠となっていた。だが、東京からほかの地域に転勤すると賃金が下がることから、労働組合も改善を求めてきた。
同社は、単身赴任者に支給する「別居手当」も5千円増額して4万5千円にする。リニア中央新幹線の工事が本格化し、転居を余儀なくされる社員が増えることも、改善の理由としている。
このほか、配偶者への扶養手当を廃止し、子どもへの手当を1人1万円から2万円に引き上げる方針も決めた。
同社はこうした手当の見直し案をベースアップ(ベア)や一時金を扱う春闘とは別に労組側に示し、近く最大労組と合意する見通しだ。
春闘では組合側が月1万2千円のベアを求めて交渉中だ。
■■■2月19日■■■
10:00
ヤマハ労組、ベア1万7千円要求 過去最高額
楽器大手ヤマハの労働組合は、賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)相当として月額賃金1万7千円の引き上げを要求した。要求額は過去最高で、約5%の賃上げ率に相当するという。労組は「物価の上昇に賃金が追いついていない」と訴える。
採用競争力を意識し、「良い人材を確保してほしいという思いものせた要求だ」(伊佐地豪文(かつふみ)・中央執行委員長)としている。スズキやヤマハ発動機といった近隣の大手企業が念頭にあり、高卒初任給の引き上げなども求めている。また、取引先企業に対する、労務費の価格転嫁の受け入れなども訴えるとしている。
回答指定日は3月13日。昨年は1万3千円を要求して満額回答だった。
■■■2月17日■■■
15:00
デンソー、平均2万3500円賃上げ
自動車部品大手のデンソーは…
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- 【解説】
春闘の賃上げ率の全体像を知るには、今年は3月12日となる大手企業による集中回答、また、3月14日に公表される連合の第1回集計結果が便利です。 昨年の春闘は、ベア(定期昇給分を除く賃上げ率)が3%台半ばとなるなど、記録的に高い上昇率とな
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