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国際刑事裁判所「存続不可能」の危機に 赤根智子所長、米制裁に懸念

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編集委員・佐藤武嗣
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 国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長は12日、東京都内で朝日新聞のインタビューに応じ、イスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出したことに米国が反発し、ICCに経済制裁を科す動きが強まっていることについて「大規模な制裁はICCの存続を不可能にする」と危機感を示した。

 ICCは今年11月、イスラエルのネタニヤフ首相やガラント前国防相らに、戦争犯罪などで逮捕状を発行した。これにイスラエルを擁護する米国が反発。米下院ではすでにICCへの制裁法案を可決し、上院でも超党派で制裁法案を可決する動きが本格化しつつある。

 米国内の動きに関し、赤根所長は「現段階でどのような経済制裁法案になるか分からない」としつつ、制裁の対象が、ICCの限定された職員だけでなく、複数の検察官や裁判官、赤根所長に拡大されたり、ICCそのものが対象になる可能性があると指摘。そうした制裁が科されれば、「米国の銀行だけでなく、欧州にある銀行もICCとの取引停止となる可能性もあり、そうなれば、職員への給与も払えず、ICCの活動の機能停止に追い込まれる」と懸念を示した。

 そうした場合、イスラエルの…

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この記事を書いた人
佐藤武嗣
編集委員|外交・安全保障担当
専門・関心分野
外交、安全保障、国際情勢、民主主義、ジャーナリズム
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    菅野志桜里
    (弁護士・国際人道プラットフォーム代表)
    2024年12月13日16時34分 投稿
    【解説】

    ICCの挫折は、「法の支配」から「力の支配」へ支配者交代の号砲となりかねない。ICC所長が母国でここまで発信している状況を、政府も国会も真剣に受け止め、行動を起こすべきだ。米国の制裁法は国際法の土台を突き崩すもので、阻止を働きかけることが内

    …続きを読む