裏金問題や物価高対策はどうなる? 具体策が異なる各党、公約を分析

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国吉美香 笠井哲也 里見稔
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 15日に公示された衆院選では、自民党派閥の裏金問題を受け、各党が政治改革を強調する。経済・社会保障政策では、与野党ともに物価高対策の給付金などによる負担減をアピールするが、財源への言及は乏しい。外交・安全保障では、南シナ海東シナ海軍事行動を活発化させる中国を念頭に、野党の多くも防衛力の強化を訴えている。各党の公約を分析した。

 自民党派閥の裏金問題を受け、「政治とカネ」にどう向き合うのか。各党ともに政治改革の必要性を主張するが、掲げる具体策は異なる。

政策活動費・政治資金パーティーなどへの対応

 党から議員に渡され、使途公開の義務がない政策活動費について、立憲民主党日本維新の会国民民主党公明党社民党は「廃止」を明記した。れいわ新選組も「禁止」とした。一方、自民党は「将来的な廃止も念頭」と記すにとどめた。政活費について、党総裁の石破茂首相は「今回の衆院選では使わない」と明言しているが、野党からは「使わないことが証明できない」(立憲・野田佳彦代表)などと批判が上がる。

 裏金問題の舞台となった政治資金パーティーについて、立憲、維新、共産党は企業・団体によるパーティー券購入の「禁止」を主張。国民が規制強化を盛り込んだ一方で、自民、公明は言及しなかった。

 政財界の癒着を招きやすいとされ、長年「カネで政策をゆがめている」と指摘されてきた企業・団体献金についても、立憲、維新、共産、社民がそろって「禁止」を掲げた一方、自民、公明は具体的な政策を記さなかった。

 裏金問題をめぐり、野党は「再調査せず、真相を一切明らかにしていない」(共産)などと自民の姿勢を批判。「真相を究明するとともに、関係者の責任を徹底追及する」(立憲)、「国会に調査特別委員会を設置して徹底解明」(れいわ)などと主張する。自民はあくまでも裏金問題を「記載義務が守られなかったこと」と位置づけ、ルールを徹底する姿勢を強調。総裁直轄の「政治改革本部」を中心に取り組むとした。

 給与とは別に毎月100万円が支払われる調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)については、自民、立憲などが使途の明確化と公開を公約に掲げ、おおむね各党の方向性は一致している。一方、選挙制度をめぐっては、立憲や国民が「参院の合区解消」、参政党が「完全比例代表制の導入」を掲げた。

給付金、減税、物価高騰などへの対応

 経済政策では、給付金の支給や減税など、各党とも物価高騰への対応を意識した施策が並ぶ。

 自民は公約に、低所得者への給付金や、地方への重点支援交付金の拡充を盛り込んだ。石破茂首相は15日、福島県いわき市での第一声で「農山漁村を中核として、半導体雇用創出も含めて、新しい日本の経済をつくる」と訴え、今年度の補正予算について、歳出総額が13兆円だった昨年度を上回る規模にするとの考えを表明した。

 立憲民主は、中低所得者が負担している消費税の一部を税額控除する方針を掲げる。賃上げと雇用の創出を重視し、公約では「分厚い中間層を復活させる」と訴える。公明と国民は、電気・ガス料金とガソリンへの補助金の継続を強く主張する。公明は、価格転嫁が難しい中小企業などに対する支援も訴える。

 時限的な対応も含め、消費税の引き下げや廃止を主張するのは維新、共産、国民、れいわ、社民、参政党だ。これに対し、自民・公明両党は否定的で「社会保障の財源として必要だ」(石破首相)との立場を崩していない。

 子ども政策でも、経済的な支援策が目立つ。

 自民は、昨年末にまとめた3…

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