リニア認めなかった前静岡県知事 支えた元副知事が考える「正当性」

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聞き手・大下美倫

 リニア中央新幹線をめぐる前静岡県知事の対応は、議論を呼ぶと同時に、国家的事業と対峙(たいじ)しうる知事の力を改めて世に示しました。知事の力はどう行使されるべきなのか。副知事としてリニアに向き合った難波喬司・静岡市長に聞きました。

 リニア中央新幹線の静岡工区の着工を認めなかった川勝平太・前静岡県知事の下で副知事を務めました。

 川勝氏は当初、リニア建設を止めようと考えていたわけではないと思います。JR東海が「大井川などへの影響は小さい」とした環境影響評価があまりにずさんに映り、適切でないと判断して許可を出さなかった。その訴えには正当性がありました。

 首長は「止める」「止めない」を判断していいんです。選挙で選ばれ、民意を踏まえて価値判断ができるからです。川勝氏には「命の水を守る」という価値判断がありました。

 一方で、JR東海を指導するような形で国の有識者会議も入って4年近く議論し、科学的根拠のある対策で「命の水は守れそうだ」となった。その頃から、川勝氏は止めることを優先し始めたように私には見えました。自分と県民の価値判断がだんだん離れ、支持を失っていったのでしょう。

止める知事、進める国・事業者 双方に必要な姿勢は

 首長と社会の価値判断がずれ…

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この記事を書いた人
大下美倫
西部報道センター|福岡県政担当
専門・関心分野
公共、社会への参加、ジェンダー