下鴨神社、個人の祈禱をする「礼殿」再建 獅子と狛犬も新調

木子慎太郎
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 下鴨神社京都市左京区)に個人の祈禱(きとう)をする「礼殿(らいでん)」(祈禱殿)が完成した。礼殿は平安時代からあったが、明治時代初期に焼失した。建物は再建されたが、個人の祈禱が目的ではなく、今は社務所として使われている。21年ごとにある第34回式年遷宮の事業の一環として再興したという。

 神社によると、今では個人の祈禱は本殿前の幣殿でしている。ただ、本来は葵祭をはじめとした公的なお祈りをする場で、多くの参拝者を想定した設計ではない。車いすも入りづらい。

 そこで、利便性の向上や文化財保護の観点から礼殿を再興した。当初は2019年ごろの完成予定だったが、コロナ禍の影響もあって遅れていた。

 礼殿は延べ床面積が約485平方メートル。受付や待機所となる祝殿(はふりでん)と、拝所の2棟が連なり、幣殿の倍近くとなる約110人が入れる。受付にはスロープが設けられた。

 拝所に安置される獅子と狛犬(こまいぬ)も新調された。京都市南区の仏師・宮本我休(がきゅう)さん(43)が作った。仕上げに使う材料を金沢から取り寄せるなど、製作には約1年半かけたという。

 6月28日に奉納した。宮本さんは「オファーをいただいたときは武者震いがした。千年以上のバトンを受け継ぐことができ感無量。言葉にできない感動があった」と話した。

 宮司の新木直人さん(87)は「参拝に訪れるみなさまが健康で、世の中が平穏、無事であってほしい」と語った。

 礼殿での「一番祈禱」の受付は7月の1カ月間。問い合わせは下鴨神社(075・781・0010)。

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