「価値ないものも受け入れ」奈良の博物館、一時休止 展示方針を検討
展示の一時休止が決まった奈良県立民俗博物館(大和郡山市)について、山下真知事は10日の定例会見で、「価値のないものも受け入れてきた」「収蔵の基準と展示のあり方を休止中に検討してほしい」と話した。
生活用具や農具など計約4万5千点を収蔵する同館は、空調の故障など設備の老朽化に加え、資料の展示方針を検討するとして、今月中旬から2027年度までの休館を予定している。
知事は視察を踏まえ、「県民の依頼があれば、古い農機具をある時期まですべて受け入れていた。保管するに見合わないものまで引き取る判断は間違っていた」と、これまでのあり方を批判した。
資料の一部は閉校した高田東高校などに保管されている。「文化財に指定されていないものを未来永劫(えいごう)にわたり保管する必要もスペースもない」「保管のルールを決め、価値あるものは残し、それ以外は廃棄処分を含め検討せざるを得ない」と話した。
同館の担当者は取材に対し、「収蔵庫を拡張できればありがたい」と話していたが、知事は今後の収蔵方針について「基本的には資料館に収まるものだけ」とし、新たな保管スペースを設けることに消極的な姿勢を見せた。
また、来館者について「小中学校の社会科見学以外、一般のお客さんは少ない。市町村の施設でも同様の展示をしているところはある」と語り、「開架方式で展示することの意味も閉館期間中によく検討したらいい」と述べた。
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- 【視点】
奈良県立民俗博物館の休館と収蔵資料を巡る問題。同僚が取材しているのですが、正直、SNSなどでここまで反響が広がるとは思っていませんでした。 各地の民俗博物館の収蔵庫が増え続ける民具でパンクしつつあることは、朝日新聞では数年前から宮代栄一編
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