奈良市のカフェで金色の千手観音像「出開帳」 愛知の寺から全国巡行

今井邦彦
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 奈良市西木辻町の「カフェ&ギャラリー メカブ」に、愛知県豊川市・財賀寺(ざいかじ)から千手観音像(江戸時代前期)が期間限定で「出開帳(でがいちょう)」している。店のオーナーで、数多くの仏像を撮影してきた写真家でもある佐々木香輔(きょうすけ)さん(39)が寺に依頼して実現。カフェに荘厳な仏像が鎮座する、ちょっと不思議な光景が見られる。

 財賀寺は724年、奈良とも縁の深い高僧の行基が開いたと伝わる真言宗の寺。開創1300年を記念し、今年10月12日~11月4日に秘仏の本尊・千手観音像が26年ぶりに開帳される。それを広めるため、「お前立ち」として秘仏の代わりに普段、参拝を受けている千手観音像が各地を回っている。

 佐々木さんは奈良国立博物館で11年間写真技師を務めた経験の持ち主。2020年からフリーとして活動し、昨年11月にはメカブをオープンした。そんな時に財賀寺の観音像巡行を知り、「普通はお寺に会いに行く仏さまが、会いに来てくれるのはめったにない機会」と考えて寺に声をかけた。

 5月28日に財賀寺から運び込まれた金色の千手観音像は高さ約2.1メートル。文化財の指定は受けていないが、江戸時代前期のものと推定される。30年ほど前に修理され、持物などもそろった美しい姿。18年から愛知県内を中心に各地を巡行し、メカブが63カ所目になるという。今月26日まで展示される予定だ。

 佐々木さんは「仏像が町にとけこんでいる奈良でも、これだけ身近に感じられる機会はなかなかない。撮影も自由なので、ぜひ多くの人に見に来てほしい」と話す。

 「メカブ」の営業は午前11時~午後5時(4時ラストオーダー)。日~火曜・祝日定休。問い合わせは佐々木さん(080・6022・1985)へ。

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この記事を書いた人
今井邦彦
専門記者|歴史・文化財
専門・関心分野
歴史、考古学、文化財、サブカルチャー