「アライ」をもっと 多彩な衣装、美術館のランウェーで性的少数者ら

花房吾早子

 性的マイノリティーや共に課題と向き合う同盟者(アライ)が出演するファッションショー「関西アライモ」が29日、大阪市北区の大阪中之島美術館であった。モデルを務める33人が多彩な衣装でランウェーを歩き、200人を超える観客が見守った。

 ショーは2021年に始まり、4回目。堺市北区で会社を経営する山本超基(まさき)さん(49)が「性的マイノリティーの味方として声を上げ、アライをもっと増やしたい」と企画し、続けてきた。

 2回目の出演となったPYORU(ピョル)さん(24)は、本業もモデル。昨年6月にあった前回のショーが、モデルデビューのきっかけとなった。

 「ここに来たら、みんな生き生きとしていて、ポジティブな空気を感じる」

 戸籍上の性別は男性で、恋愛対象も男性。女性への憧れがあるが、女性になりたいとは考えていない。

 中高生時代、周りと違うことを気にし、自分は何者なのか悩んだ。いま所属する事務所には、オーディションでカミングアウトし、受け入れられた。

 「自分はこのままでいいと思えたら、楽に生きていける。ショーを見た人たちにも、肩の荷を下ろしたり壁を越えたりするきっかけになればうれしい」

 4回目の開催にあたり、山本さんには、ためらいもあったという。前回開催した約1カ月後、「男らしさ」や「女らしさ」にとらわれない生き方を発信していたタレントのryuchell(りゅうちぇる)さんが27歳で急逝。生前、インターネット上で中傷にさらされていた。

 山本さんは「もし関西アライモのモデルたちに同じことが起きたらどうしようと思うと、自分のやっていることは正しいのだろうかと怖くなった」と話す。

 今回、予想の倍以上の来場者による拍手に包まれ、閉幕した。「ただただみんなに幸せになってほしい。声を上げた人が声を上げ続けられる社会にしていきたい」(花房吾早子)…

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