森鷗外も訪れた 地域の顔のレトロな書店 150年の歴史に区切り

有料記事

杉浦奈実
[PR]

 明治7(1874)年に創業し、森鷗外も訪れたという熊本市の長崎次郎書店が6月末で休業する。国の登録有形文化財になっている建物は、長く地域の顔として親しまれてきた。

 紙の出版物の売り上げ低迷や経費の増加などが響き、150年の歴史に区切りをつける。

 書店は、まちの中心部から少し離れた市電新町電停近くにある。雑誌やマンガのほか、児童書や絵本、熊本ゆかりの作家による書籍などがそろう。

 建物は大正13(1924)年建築の木造2階建て。東京駅日本銀行本店の設計で名高い辰野金吾氏に師事し、東京・丸の内の赤れんが街の建築に携わった保岡勝也氏が設計したレトロな外観が目をひく。近所の人のほか、文学や建築ファン、市電を見る鉄道愛好家などが県外から訪れることも少なくないという。

 運営する長﨑健一社長(45)によると、出版物の売り上げ減に加え、電気代や、本の輸送運賃、キャッシュレス決済の手数料といった経費が増え、今後もこうした傾向は続くと見られることから休業を決断した。

 長﨑さんは、創業者の長﨑次…

この記事は有料記事です。残り634文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません