黒部峡谷に春、トロッコ電車が始動 地震で橋が壊れ、全線開通は秋に

佐藤美千代

 黒部峡谷鉄道(富山県黒部市)のトロッコ電車が19日、今年度の運転を始め、オレンジ色の車両が早緑(さみどり)の山あいに春を告げた。能登半島地震で橋が壊れた影響で、当面は一部区間で運転し、全線開通は秋にずれこむ見通しだ。

 始発の宇奈月駅では運転開始のセレモニーがあり、海外や県内外からの乗客を旅館のおかみらが見送った。1泊2日の旅行で愛知県豊田市から訪れた50代の女性は「水色の湖と山の残雪がとてもきれい。カーブで電車が見えるのもよかった」。一緒に乗った60代の男性は「ガタガタという振動がトロッコらしくていいですね」と話した。

 元日の地震で、宇奈月駅から約14キロ先の鐘釣橋が落石で壊れ、復旧工事が終わるのは9月の予定。今月24日までは笹平駅、25日以降は猫又駅までの折り返しで運転し、終点・欅平までの開通は10月1日が目標だ。同社営業部の谷本悟さんは「紅葉には間に合わせたい。折り返し運転でも峡谷の美しい景色は楽しめるので、ぜひお越しください」。乗降客数は、コロナ禍以前に近づいた昨年度並みの55万人を目指している。(佐藤美千代)…

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