紛争の「解決」へ、強まる思い 右派を自認する若者が描く故国の未来

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聞き手・伊藤弘毅
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ユダヤ人入植地を抱える地域評議会で働くナホム・ペリーさん(30)

 (パレスチナ自治区ヨルダン川西岸にある)ユダヤ人入植地を管轄する地域評議会で、市民やメディアへの情報発信を担っています。この評議会は管内に約8万の人口を抱えていますが、まだまだインフラが不足しています。先日、管内で道路の拡張工事が始まりました。完了すればユダヤ人だけでなく、アラブ人の交通状況も改善されるでしょう。

 米国から移住した両親のもと、エルサレムで生まれ育ちました。私が自分のことを右派だと明確に認識するようになったきっかけは、2021年にパレスチナ自治区ガザで起きた、イスラエル軍とイスラム組織ハマスの大規模な衝突でした(イスラエルの占領下にある東エルサレムで、イスラエル当局とパレスチナ人との間で衝突が相次いで対立が激化し、ガザでの衝突につながった)。

【連載】イスラエル・パレスチナ 市民の声 ガザ戦闘1年半

イスラム組織ハマスの奇襲と、イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザへの攻撃が始まって1年半。約2カ月の停戦期間を経て戦闘が再開され、終結の道筋は見えないままです。イスラエル、パレスチナ双方のさまざまな立場の市民の声を聞きました。

 当時、大学生だった私は、「この国で起きていることをもっと知りたい」と思うようになりました。イスラエルやユダヤ人に関する歴史や物語を対外的に広める団体の活動に携わりました。

 西岸などに建設した居住区について、我々は「入植地」ではなく、単に「ユダヤ人の町」だと思っています。一般的に、右派はイスラエルの地全体が、聖書の故郷ととらえているからです。約3千年前にこの地に住んでいた我々の祖先は、一度は故郷を追われたものの、再び戻ってきた。この美しい土地に、自分たちが居住する権利があると考えます。

 この国の多くの人は、国のこ…

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この記事を書いた人
伊藤弘毅
アジア総局員兼ニューデリー支局員|アジア経済担当
専門・関心分野
南アジア、東南アジア、開発、エネルギー
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    川上泰徳
    (中東ジャーナリスト)
    2025年4月19日9時19分 投稿
    【解説】

    このシリーズはパレスチナ人とイスラエル人の個人にインタビューし、それぞれの考えていることを聞くものだが、こうして、イスラエル人の右派の若者の話を聞くのも興味深い。 私がイスラエルで取材して思うのも、このような声は、イスラエルの中で決して少数

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イスラエル・パレスチナ問題

イスラエル・パレスチナ問題

イスラム組織ハマスが2023年10月7日、イスラエルに大規模攻撃を行いました。イスラエルは報復としてハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区に攻撃を始めました。最新のニュースや解説をお届けします。[もっと見る]