靖国神社の宮司に元自衛隊将官、総代も複数 政教分離の観点で懸念も
靖国神社(東京都千代田区)トップの宮司に初めて将官経験がある元自衛隊幹部の就任が決まった。靖国を支える元軍人が高齢化し、近年は氏子総代にあたる崇敬者総代にも自衛隊の元幹部が加わる。
現職自衛官の「集団参拝」が問題視された中、専門家からは、国や軍隊が特定の宗教と結びついた戦前・戦中のような印象を与えることにならないかとの指摘もある。
靖国神社は第2次大戦当時は陸海軍の管轄下にあって、鈴木孝雄・陸軍大将が宮司を務めていた。敗戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の神道指令による「国家神道」の廃止とともに国や旧軍から切り離され、民間の宗教法人となった。
まつられている約246万人の戦没者には、職業軍人だけではなく、徴兵され、命を軽視した特攻や補給不足の無謀な作戦で餓死した兵士も含まれる。戦後は、元皇族や旧華族、神社関係者らが神社の役職のトップとなる宮司を務めてきた。
靖国神社は15日に、次の宮司に自衛艦隊司令部幕僚長などを歴任した元海上自衛隊海将の大塚海夫氏(63)が4月1日に就任すると発表。10人いる崇敬者総代にも、2012年に元統合幕僚会議議長(現在の統合幕僚長)の寺島泰三氏(91)、19年に元海上幕僚長の古庄幸一氏(77)が就き、23年には寺島氏に代わって元陸上幕僚長の火箱芳文氏(72)が就任している。
自衛隊は旧軍とは異なる新た…
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