「ハチロク、お疲れさま」最古のSL引退、機関士は父の腕章つけて

有料記事

池田良
[PR]

 国産の蒸気機関車としては最も古く、JR鹿児島線の熊本―鳥栖(佐賀県)間を運行する観光列車「SL人吉」が23日、ラストランを迎える。

 2度の引退から復活を果たし、4年前の豪雨災害も乗り越えたが、老朽化が著しく、歴史に幕を下ろすことになった。操縦するのはこの道24年のベテラン機関士。同じ道を歩んだ亡き父の思い出の品を携えて走る。

 シュッ、シュッ。

 ピストンから噴き出す蒸気の音。

 カン、カン。

 車体の機器の接合部の締め具合や油の量が適度かどうかを確かめるため、ハンマーを打つと返ってくる音。

 「SLは生きもののようなもの。毎日、息づかいが違う」

 最終運行を控えた8日、岡部恭教(やすのり)さん(60)は車庫がある熊本車両センター熊本市)で、SL人吉の運行前の準備に臨んだ。

 客車を引っ張るSLは、型番の語呂から「ハチロク」の愛称で鉄道ファンから親しまれている。

■導いた機関士の父親 

 機関士だった父・明人(あき…

この記事は有料記事です。残り1631文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません