恩根内など北海道内の無人駅5駅が廃止 地元の存続要望なく歴史に幕

奈良山雅俊
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 JR北海道の今春のダイヤ改定で、道内の無人駅5駅が15日を最後に姿を消した。地元自治体から維持管理費負担による駅存続の声はなかった。最終日は地元の人たちが列車を見送り、長年地域とともに歩んできた駅に別れを告げた。

 廃止となったのは宗谷線の初野駅(美深町)と恩根内駅(同)、石北線愛山駅(愛別町)、石勝線滝ノ上駅(夕張市)、函館線中ノ沢駅(長万部町)。維持には除雪費など年間100万円ほどの経費が必要で、JR北は極端に利用の少ない無人駅の廃止を進めている。

 廃止となる駅では15日、地元の人らがお別れのセレモニーを催した。恩根内駅には関係者も含めて約50人が集まり、午後1時40分発の上り普通列車を「さよなら そして ありがとう」などと書かれた横断幕で見送った。

 恩根内駅は2021年春のダイヤ改定で廃止対象になったが、地元住民の要望に応え、美深町が維持管理費を負担して存続。自治会が清掃や除雪作業を続けてきたが、高齢化が進み、地元の約60世帯を対象としたアンケートでは8割以上が廃止に理解を示した。

 現在、駅前から名寄駅までは平日8便の路線バスが運行。JRより利便性が高く、列車への依存度は低かった。

 同町内では21年春のダイヤ改定で南美深、紋穂内、豊清水の3駅が廃止になり、これで残るのは美深駅だけになった。恩根内自治会の増子周一会長(71)は「駅前やホームの除雪を担ってきた人も80歳を超えた。多い日は1日3回もする。みんな年を取った。やむを得ない」と話していた。

 根室線富良野―新得(81・7キロ)も31日が最終運行で、かつて全道に張り巡らされた鉄道網はやせ細っていくばかりだ。(奈良山雅俊)

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