47年で鉄道模型10万両以上 ハンダ付け職人が感じる時代の変化
数ミリしかない座席やひじかけ、運転台。列車の再現に欠かせない部品を、塗装前の車体に取り付けていく。
ハンダ付けを続けて、計47年間。
砂川信行さん(65)が生み出してきた鉄道模型は、これまで10万両以上にのぼる。
つくる車両は、全国各地のJRや私鉄の通勤列車など幅広い。
作業自体は、どの車両もほぼ変わらない。まだ床が付けられていない「車体」に、付けたい部品を乗せ、接着しやすくする液体を接合部に。温めたハンダごてにハンダをつけ、接合部にあてがうと、部品が車体につながる。浮きあがった部分をヤスリで削り、完成だ。ミリ単位の作業。気は抜けない。
全ての部品を付け終わったら、塗装に回す。
2月下旬、鉄道模型メーカー「カツミ」(東京都目黒区)を訪ねた。
砂川さんは、かつて東京を走り2018年に引退した千代田線の「6000系」と向きあっていた。今年発売を予定している新商品だ。
「なくなってしまった車両でも模型で再現できる。こだわり出すとやめられない」
神奈川県にある藤沢駅から徒歩3分ほどの場所で育った。祖父やおじが国鉄(現・JR)に勤める「鉄道一家」だった。暇さえあれば駅に行き、行き交う列車を眺めた。将来の夢は新幹線の運転士だった。
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