長編小説「安曇野」刊行50年 復刊向け市は文庫本買い取りを予算化

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安田琢典

 長野県安曇野市出身の文芸評論家で作家の臼井吉見(1905~87)の代表作として知られる長編小説「安曇野」の最終巻が刊行されて、今年で50年を迎える。安曇野の名を全国に広め、定着させた全5巻の大河小説だが、現在は文庫版も含めて絶版になっている。そこで、安曇野ゆかりの小説を復刊し、地域の魅力を発信しようと市や住民有志らが動き出した。

 市政策経営課によると、臼井吉見は長野県松本市の旧制松本中学(現松本深志高校)などを経て東京帝大(現東京大)を卒業し、県内外で教職に就いた。その後、親友で同県塩尻市出身の古田晁(あきら)(1906~73)が創業した出版社「筑摩書房」の雑誌「展望」の初代編集長に就任。多くの作家や評論家を世に送り出す一方で、自らも執筆活動に励んだ。

 そんな臼井の代表作が、安曇野や東京、フランスなどを舞台に明治時代から昭和初期にかけての激動する社会を描いた小説「安曇野」だ。65年6月から74年5月にかけて順次、刊行された。

400字詰5600枚の大作、登場人物2千人

 400字詰め原稿用紙で約5…

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