ハンセン病療養所の一室から富士山撮り続けて30年 草津で写真展

有料記事

高木智子
[PR]

 山肌が紅色に照らされたり、霧に浮かんだり……。30年以上にわたり、ハンセン病の療養所の一室から富士山の様々な表情を撮った写真展が、群馬県草津町国立療養所「栗生楽泉園」の社会交流会館で開かれている。

 撮影したのは、「駿河療養所」(静岡県御殿場市)に暮らす杉浦仁さん(88)。ハンセン病になって、1950年に10代半ばで隔離、収容された。社会に復帰したこともあるが、人生の大半は療養所の中で過ごしてきた。

 雑誌を読んだり、友達に尋ねたりして、我流でカメラの腕を磨いた。撮影ポイントは、収容された施設の自室のベランダだった。富士山を望むことができた。カメラを固定して、後遺症で自由が利かなくなった手でシャッターを押したという。

 「おもしろい雲が出てきたと思ったら、部屋から飛び出してシャッターを切る。雲のない、青いだけの空はつまらない」と杉浦さん。撮り直しができるデジタルカメラが主流になるなか、一枚一枚が勝負のフィルムカメラを続けた。量販店でフィルムを現像し、アルバムにして手元で楽しんでいた。

 そんな杉浦さんのアルバムを…

この記事は有料記事です。残り634文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【春トク】締め切り迫る!記事が読み放題!スタンダードコース2カ月間月額100円!詳しくはこちら

この記事を書いた人
高木智子
前橋総局|群馬県政担当
専門・関心分野
社会、人権、地方