ガザのジャーナリスト、少なくとも84人犠牲 「武器はスマホだけ」
国境なき記者団(RSF)は7日、パレスチナ自治区ガザで、昨年10月7日にイスラエルとの戦闘が始まって以降、少なくともジャーナリスト84人が死亡したと発表した。約50の地元や海外メディアの拠点施設が破壊されたといい、機材不足や通信規制のために報道の自由が損なわれている。
RSFによると、多くのジャーナリストがガザ最南部のラファに避難しているが、イスラエル当局は彼らにガザを出ることを許可していない。外国人のジャーナリストがガザに入ることも、禁じている。
RSFは声明で、「イスラエル軍によるガザのジャーナリズムと知る権利の完全な制限を強く非難し、各国および国際機関に対し、この大量殺害を直ちに停止するようイスラエルへの圧力を強めるよう求める」と訴えた。
「守る場所はない」
「常に危険と隣り合わせ。ジャーナリストたちは負傷し、殺されている」
ガザでラジオ局の通信員として働くサラフィナズ・ルーさん(33)は、朝日新聞の電話取材に、こう語った。自身もイスラエル軍による銃撃で、腕と足に傷を負った。
「PRESS(報道)」と胸に記されたベストをつけ、何度もがれきの山と化したガザの街に向かった。唯一の「武器」であるスマートフォンを使い、原稿や写真、動画を送ってきた。
いまはガザ南部ハンユニスで、イスラエル軍に拘束されている多数のパレスチナ人について取材をしている。
燃料が足りないため、現場に行くときはロバや馬が引く荷車に乗る。道は悪く、途中で攻撃を受けることもある。「報道の基本である通信、移動のための機動力が極度に欠け、仕事はまひ状態だ」と嘆く。
戦闘開始後、イスラエル軍の爆撃や銃撃で、記者仲間やその家族が命を落としている。140人のジャーナリストが死亡したという集計もあるという。
「私たちはイスラエルによる侵略を阻止するために発信し続ける。でも、私たちを守る場所は、もうない」。ルーさんは語気を強めた…
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イスラエル・パレスチナ問題
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