「捨てた」再エネ電気、45万世帯分 出力制御急増で 朝日新聞集計

有料記事気候変動を考える

安田朋起 小宮山亮磨
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 太陽光と風力による発電を一時的に止める「出力制御」が2023年に急増し、1年間に制御された電力量が全国で計約19・2億キロワット時に達したことが朝日新聞の集計でわかった。過去最多だった21年の3倍超で、約45万世帯分の年間消費電力量に相当する。再生可能エネルギーを生かし切れていない。

 電気は発電量と使用量をそろえないと周波数が乱れて大停電になるおそれがある。発電量が過剰になる時に、発電量と使用量のバランスを保つため大手電力が再エネの発電を一時停止するのが出力制御だ。国のルールでは、まず二酸化炭素(CO2)の排出量が多く、出力を上げ下げしやすい火力を減らし、余った電気を他の地域に送る。次にバイオマス、太陽光・風力の順で再エネを抑える。出力を簡単に調整できないとされる原発は最後となる。

 出力制御は、太陽光の導入が早かった九州で18年秋に始まり、22年春以降に東京電力管内を除く全国に広がった。22年は中国、四国、東北、北海道、23年は沖縄、北陸、中部、関西の各電力エリアで始まった。

 大手電力が23年末までの需給実績を公表したのを受けて、送電網が別の沖縄と未実施の東京を除く8社の太陽光と風力の制御量を集計した。23年1~12月の制御量は約19・2億キロワット時で、過去最多だった21年(約5・8億キロワット時)の約3・3倍、22年(約3・0億キロワット時)の約6・5倍だった。全体の7割を九州が占めた。

 出力制御は冷暖房を使わなく…

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