被差別部落のネット記事削除求め住民提訴 「差別されない権利侵害」

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北沢祐生

 被差別部落に関する記事や動画をウェブサイトに掲載され、「差別されない権利」を侵害されているとして、新潟県内の被差別部落に住む男女3人と部落解放同盟県連合会が24日、サイトの運営者を相手取り、記事の削除や1人あたり220万円の損害賠償を求めて新潟地裁に提訴した。「差別への恐怖の中に身を置かされている」と訴えている。

 訴状などによると、サイトは川崎市の出版社の代表が運営しており、被差別部落の地名を具体的に挙げ、代表が撮影した写真とともに記事などを掲載。県内では4市1村の15地域について掲載し、原告2人の実名や経営する会社の写真なども含まれているという。

 原告側は訴状で「自身が暮らす地域が被差別部落であることを全世界にさらされ、具体的差別をいつ、どのような形で受けるかもしれない恐怖の中に身を置かされている」と主張。「差別が拡散される甚大な人権侵害」とも指摘する。

提訴された出版社側は「裁判を起こした」

 提訴を受け、出版社代表は取材に、同連合会に関して新潟地裁に裁判を起こしたとし、その裁判と「連動していると考えている」と話した。

 この出版社をめぐっては、戦前の報告書「全国部落調査」の復刻出版を告知し、被差別部落の地名リストをサイトに掲載したのに対し、部落出身者らが出版差し止めなどを求めて提訴。東京高裁は昨年6月の判決で、憲法14条などに基づき「差別されない権利」を認めた。

 弁護団によると、今回の提訴はこの判断を受けたもので、同種の訴えは、同11月の大阪地裁への仮処分申し立て、翌12月のさいたま地裁への提訴に続き3件目。部落解放同盟幹部によると、さらに四国や中国地方でも提訴へ準備を進めているという。

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