災害関連死「増える可能性」 発災翌日から支援入りの医師が警鐘

有料記事能登半島地震

阿部彰芳
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 能登半島地震の発生翌日から災害医療支援チームとして被災地に入った日本医科大の横堀将司教授(救急医学)が5日、朝日新聞の取材に応じた。水や電気だけでなく、食料や薬の供給が途絶えている地域があり、「災害関連死が多く発生する可能性がある」と物資や医療の支援強化を訴えた。

 横堀さんのチームは、車で2日夜に石川県七尾市内の病院に到着。翌3日午前に穴水町の障害者施設で診療したあと、さらに北上して、同日夕方から能登町小木地区の避難所で被災者の診療にあたった。

「薬も水もない」

 横堀さんによると、避難していた住民は地区の小学校に約150人、中学校に約760人。一方、医師は1人しかおらず、孤軍奮闘の状況だったという。

 「明日のご飯がない、明日の水がないという世界。被災者は、物資や医療支援がすぐに届かないなかで、孤立感を抱えて過ごしている。精神的なストレスを感じている人も多い」と横堀さんは話す。

 高齢者では持病の薬を飲んでいる人が多いが、医薬品の在庫がなく、物流も滞っているため、十分な薬を処方しきれない状況だという。また、避難所には、ベトナムインドネシアから来た外国人も100人ほど身を寄せており、言葉が通じない問題も生じているという。

 これから懸念されるのは感染症だと指摘。抗菌薬はなく、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの検査キットもわずかしかないとし、「唯一できることは隔離だが、隔離室をたくさんつくれば、今度はそこだけで暖房の燃料を取られてしまい限界がある」。

 トイレも不足し、断水のため、手が洗えないため、感染症対策が急務だという。

■道路寸断も 「初期支援の遅…

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