今日からパートナーシップ制始まる伊達市 市民巻き込み、理解広める

力丸祥子
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 福島県伊達市で4日、県内初のパートナーシップ制度が始まる。同市では、新しい制度を理解し身近に感じてもらおうと、市民を巻き込んで啓発活動を展開する。(力丸祥子)

 《一人ひとり自分の色で輝ける社会へ》

 2022年、伊達市がパートナーシップ制度の導入につながる新しい男女共同参画プランのキャッチフレーズを市内の中学生から募った。90点の中から最優秀賞に選ばれたのは、市立桃陵中3年の中島詩桜さん(15)の作品だった。

 美術部の中島さんは、タブレットで絵を描くのが大好き。「それぞれの個性を色に例えた。人と違うところがあっても、その色をSNSなどで否定されたり、上書きされたりするのは悲しい。誰もが自分の色で輝ける社会になってほしい」との願いを込めたという。

 日々の暮らしで、LGBTQという言葉を耳にする機会は増えた。地元が「県内初」になるのも誇らしい。「今まで暮らしに不便を感じていた人が少しでも幸せになればうれしい。キャッチフレーズを考えることで参加できたので、より興味を持てた」と話した。

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 多様性を表す7色の花びらを持ち、優しくほほえむのは伊達市のキャラクター「だってちゃん」。同市の国際交流員ララ・ジャスティスさん(25)がデザインした。米国出身で、2021年に来日した。「ありのままのあなたの存在を認めているから安心してね、というメッセージを込めた」

 だってちゃんは17年、市の友好交流都市の千葉県白井市から贈られたキャラクターだ。幼稚園生の女の子という設定で、黄色いワンピース姿だ。一方、多様性バージョンではジェンダーレスに表現しようと、白のパンツスタイルに変身させた。今後、パートナーシップを宣誓した人に市が交付する証明カードにも描かれる。

 高校生のとき、学校には出身国や人種、宗教など様々な背景を持った友達がいた。「考え方が異なる人との出会いが世界と心を広げてくれた。とても楽しい経験だった」と振り返る。

 「多様性」には性的マイノリティーだけではなく、外国人や障害者なども含まれる。「違いを認め合うと、結局は同じ人間で似ているところもある、と気づく。人としてわかり合う大切さを、だってちゃんから感じてもらえたらうれしい」

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 〈パートナーシップ制度〉 同性婚が認められていない日本で性的少数者の人権を尊重し、同性同士などのカップルの関係を公的に認める制度。性的少数者のカップルを婚姻に相当する関係と自治体が認めるもの。法的拘束力はないが、行政や民間によるサービスを受けやすくなる。県内では伊達市が初導入。ほかに福島市南相馬市、富岡町でも導入に向けた検討が進む。

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