大麻草由来の薬解禁 改正案成立へ てんかんなど治療 使用罪を創設

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後藤一也
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 大麻取締法などの改正案が5日、参院厚生労働委員会で可決し、今国会で成立する見込みとなった。大麻草由来の成分を含んだ医薬品を日本でも使えるようにすることが主な目的。また、大麻の使用罪を新設し、大麻草の栽培に関する免許制度も変わる。

 欧米では大麻草由来の抗てんかん薬がすでに販売され、日本でも患者団体が医療用大麻の解禁を求めていた。法改正後には、有効性と安全性を評価したうえで国が承認すれば、販売できるようになる。

 てんかんのある人は国内に100万人ほどとされる。うちおよそ3割の人は薬だけで発作を抑えることが難しい。外科手術が効果的な場合もあるが、長年発作に悩まされている人は多い。

 欧米で承認されているのに日本で使えない「ドラッグ・ラグ」。大麻草由来の抗てんかん薬は、その典型例の一つだ。だが、ここ10年ではそうした薬の一部について、日本でも承認が進む。既存の薬では治らない患者やその家族にとっては新薬の承認は希望となっている。

 2018年に米国で承認された抗てんかん薬「エピディオレックス」は、大麻草に含まれる幻覚作用のないカンナビジオール(CBD)を主成分とした薬だ。これまでとは、薬の作用が違うと考えられている。この薬を日本で使えるようにするため、患者団体は国などに働きかけていた。

 この薬を使った日本での治験はすでに始まっている。対象は、難治性てんかんのうちドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、結節性硬化症の三つで、患者数は国内に計2万人程度と推測されている。

 難治性てんかんの患者は、長い時間をかけて何種類もの薬を試して、少しずつ調節しているが、1日に何度も発作が起きてしまう人も多い。

 聖マリアンナ医科大病院の太組(たくみ)一朗教授(脳神経外科)は「てんかんの薬に、万能なものはなく、大麻草由来の薬も万能ではない。それでも、今の薬では発作を抑えられない人にとっては希望になり、早く薬を届けることが大切だ」と指摘する。

 一方、自宅でどう保管するの…

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