JR西が150億円拠出へ 城端線・氷見線移管で実施計画素案

平子義紀
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 富山県などが出資する第三セクター「あいの風とやま鉄道」への移管が計画されているJR城端線・氷見線について、JR西日本は29日、移管にともなう費用など150億円を拠出すると明らかにした。県や沿線4自治体などが参加する同路線の再構築検討会で方針を説明した。

 実施計画案によると、来年2月からの約10年間で、新車両の導入や移管に伴う再整備などにかかる施設整備費は342億円にのぼる。その財源の内訳は、国が128億円を補助し、同額を県と沿線自治体が折半して負担する構想だ。JR西が拠出する150億円のうち、86億円を施設整備費に充てる。残りの64億円は、将来の赤字補塡(ほてん)に備えた経営安定基金に組み入れる。

 額が大きいのは、振動が少なく環境にも配慮した新型車両の導入で176億円を見込む。現行より10両増となる34両を導入する。路線のリニューアルをアピールするため車両前面にオリジナルデザインを掲げ、「乗りたくなる路線」を目指すという。

 城端線と氷見線の直通化には37・8億円を投じる予定。券売機や駅案内表示の改修など既存設備の再整備などに78億円を計上している。

 5年後をめどに新型車両がそろう計画で、その段階で事業主体はJRからとやま鉄道に切り替わる。

 運行本数は、1日あたり城端線が42本、氷見線が36本のところ各線毎日60本程度に増やす。すでに導入されている高岡、新高岡駅をのぞく19駅に交通系ICカードが使える改札機を設置。対応済みのとやま鉄道への乗り継ぎ利便性を高める。

 利用者は、2022年度で1日9609人だが、計画最終の33年度には約2400人増え、1万2千人を見込む。それでも年間10・86億円の赤字(22年度)は3・8億円の改善にとどまり、33年度に7・06億円の赤字が見込まれる。

 新田八朗知事は「城端線・氷見線は将来のまちづくりの重要な基盤。住民のために必要なサービスを維持するために必要な負担だ」と話した。

 一連の移管では、国が赤字ローカル線の再生を目的に10月に導入した制度を使う予定で、年内に実施計画をとりまとめて、国に提出する。(平子義紀)

城端線・氷見線再構築実施計画案のポイント

・新型車両の導入(176億円)

・運行1日60本程度に。日中のパターンダイヤ化(44.8億円)

・交通系ICカード対応改札機(4.6億円、2年後をめど)

・城端線と氷見線の直通化(37.8億円)

・旅客案内システムを導入(78億円)

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