リニア工事でダム取水抑制案、静岡県が了解 川勝知事「対話が必要」

青山祥子
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 リニア中央新幹線静岡工区の工事で、大井川から県外に流出する水を補う「田代ダム取水抑制案」について、静岡県は29日、JR東海に対して実施案を了解することを文書で通知した。JR東海は10月、ダムを管理する東京電力リニューアブルパワーとの協議が大筋でまとまったとして、県や流域市町などでつくる「大井川利水関係協議会(利水協)」に了承を求めていた。

 文書は、28日付で利水協から取水抑制案の実施を了解する旨の報告があり、県の地質構造・水資源専門部会からも「スキームとして妥当」との意見があったことを受けたもの。

 同時に発表した川勝平太知事のコメントでは、取水抑制案について「大井川中下流域の河川流量への影響を回避する保全策となり得る」と評価した一方、「JR東海が『今後、具体化する』とした未決定の事項などがある」として県の専門部会での対話を要請。「トンネル湧水による水質、水温や生態系への影響という懸念は残されたまま」とも指摘した。

 川勝知事は28日の定例会見で同案を受け入れる姿勢を明らかにし、「リニア問題は一歩前進した」との認識を示していた。(青山祥子)

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