ハンセン病、究極の隔離伝える学芸員 考古学からの異色の転身
高木智子
究極の隔離の実態をいまに伝える「重監房資料館」(群馬県草津町)。開館を2014年春に控えていたころ、学芸員で部長の黒尾和久さん(62)は、ある提案をした。
懲罰のためにハンセン病の患者を監禁した施設があった場所の掘り起こしだ。
南京錠、お碗(わん)に眼鏡、梅干しの種……。さまざまな出土品が見つかった。長く捨て置かれたものたちだ。
「これで証言を裏付けられる。どんなひどい目にあっていたのか。どれほど痛めつけられたのか。ものがあれば、強い」
東京都大田区出身。大学を出た後、ハンセン病とは畑違いの考古学調査の世界に生きてきた。専門は縄文時代で、自身を「穴掘り屋」と語るように、東京の多摩地区など各地の遺跡の発掘調査に携わってきた。
ところが考古学を揺るがす大事件が起きた。2000年に明るみに出た旧石器遺跡捏造(ねつぞう)事件だ。
「人間のやることってなんだ…
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