行政が葬祭費負担、過去最多の5万件超 「無縁遺骨」保管場所も不足

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森下香枝

 資産や身寄りがない人の葬祭費を、公費で負担するケースが増えている。昨年度は1956年に統計をとり始めて以来、過去最多を更新した。火葬後も引き取り手がない「無縁遺骨」も増え続け、保管場所の不足も問題になっている。

 厚生労働省によると2022年度、生活保護法に基づく「葬祭扶助」により、国と自治体が葬祭費を負担したのは全国で5万2561件(速報値)。最多だった前年度の4万8789件(104億円)から約3800件増え、初めて5万件を超えた。支出総額は国と自治体の合計で約110億円に上るとみられる。

 葬祭扶助は、遺族が葬祭費を支出できない場合や身寄りがない故人について、家主や病院長など第三者が葬祭を執り行うと申請すれば、行政が費用を負担するしくみ。都市部で1件約21万円と規定されている。国が4分の3、自治体が4分の1を負担する。

 件数が都道府県別で最も多かったのは東京都で、9313件(速報値・前年度比889件増)。政令指定市で最多は大阪市の5252件(同312件増)で、いずれも過去最多だった。自治体の負担は東京都で約20億円、大阪市で約11億円に上る見込みだ。

引き取り手ない「無縁遺骨」も増加

 同省社会・援護局保護課の担…

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森下香枝
編集委員|ここからTIMES編集長
専門・関心分野
終活、中高年のセカンドライフ、事件など
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    塚田穂高
    (文教大学国際学部教授・宗教社会学者)
    2023年10月31日15時51分 投稿
    【解説】

    とても重要な現在進行形の問題を浮き彫りにしており、広く読まれてほしい記事だ。少子高齢化や単身世帯化が進み、「多死社会」が到来しているなか、すべての人びとが尊厳ある生活とともに尊厳ある「死」をむかえるにはどうしたらよいか。社会的な保障はどのよ

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