年収の壁問題 保険料穴埋めで年金給付、「不公平」のそしり免れず

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浜田陽太郎 楢崎貴司

 パートで働く人らが一定の年収を超えると逆に手取りが減るため、時間を抑えて働く「年収の壁」問題。「当面の対応策」として政府が打ち出したのが「支援強化パッケージ」です。このうち、本人が払うべき保険料を穴埋めし、厚生年金をフルに受け取れるようにする助成制度は、公的年金制度の「3号被保険者」の優遇となっている側面が否めません。

 岸田文雄首相自身も「社会保険料を国が実質的に軽減し、『壁』を越えても手取り収入が増えるようにする」と話したが、増えるのは「今の収入」だけでない。「将来、死ぬまで受け取れる年金」も増える。

 会社員や公務員の配偶者に扶養される「3号」は、自分では保険料を負担しない。この3号制度への対応が国会で「大炎上」した前例が、今年3月の審議会で委員から指摘された。2011年前半に問題化した「運用3号」だ。

「正直者がバカを見る」結果に

 もともと3号被保険者だった…

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この記事を書いた人
浜田陽太郎
論説委員|社会保障担当
専門・関心分野
社会保障、定年後