「イスラエルの目的はハマスの壊滅」 中東は新段階の紛争へ 米識者
パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスによるイスラエルへの大規模攻撃に端を発し、激しい軍事衝突が続いています。イスラエルが「強力な報復」を宣言するなか、今後の情勢はどうなるのか。中東情勢に知見を持つ米シンクタンク、民主主義防衛財団(FDD)のジョナタン・シャンツァー氏に詳しく聞きました。
――今回の大規模攻撃は、「イスラエルにとっての9・11同時多発テロ」とも言われています。
イスラエルで残虐行為が行われ、1千人以上が殺害されました。イスラエルは自国内でこれほど多くの犠牲を経験したことがなく、人々は、受けた暴力の激しさに衝撃を受けました。イスラエル国防軍(IDF)の準備ができておらず、諜報(ちょうほう)機関が失敗したことにも衝撃が広がっています。
――イスラエルと敵対するイランは、ハマスの大規模攻撃をどこまで支援したのでしょうか。
イランが支援する組織には2種類あります。一つは(ガザ地区の武装組織)「イスラム聖戦」や(レバノンのイスラム教シーア派組織)「ヒズボラ」のように、イランの指示に従う、直接の代理組織です。
ハマスはそうではありません。イランはハマスを支援し、影響力を持ちますが、指示して動かすわけではありません。ガザ地区のほか、カタールやトルコ、レバノンといった拠点にいるハマスの指導者たちが、決定を行います。
ただ、2021年のガザ地区でのイスラエルとの軍事衝突の際、イランがレバノンに情報拠点を置いていることが指摘され、イランとの緊密な協力関係が明らかになりました。イランの革命防衛隊と、ハマスやイスラム聖戦などが暴力活動を調整し、武器の密輸を行うメカニズムです。
今回の大規模攻撃はパラグライダーやトラックでイスラエル側に侵入するなど、これまでのハマスの攻撃よりもはるかに洗練されていました。ハマスにとって新たな手法であり、イランの関与なしに実行されたものとして理解することは難しいと考えます。
中東で信頼失った米国 安定化への役割果たせるか
――イスラエルは今後、軍事…
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イスラエル・パレスチナ問題
イスラム組織ハマスが2023年10月7日、イスラエルに大規模攻撃を行いました。イスラエルは報復としてハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区に攻撃を始めました。最新のニュースや解説をお届けします。[もっと見る]