北海道医療大学、北広島市のFビレッジへのキャンパス移転で基本合意

松田昌也 佐々木洋輔 新田哲史
[PR]

 北海道医療大学(当別町)が2028年度をめどに北広島市にある複合施設「北海道ボールパークFビレッジ」へのキャンパス移転を検討している問題で、大学を運営する学校法人東日本学園(鈴木英二理事長)と、Fビレッジを運営するファイターズ スポーツ&エンターテイメント(FSE社、小村勝社長)、北広島市(上野正三市長)の3者は10日、キャンパス移転を含めた共同まちづくりに関する基本合意を締結した。

 基本合意の内容は非公開とされたが、大学の新キャンパスは北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールド北海道」から北東へ約200メートルほどの場所で、JR北海道が計画している球場近接の新駅にも近い。FSE社によると、Fビレッジの敷地のうち開発の進捗(しんちょく)状況は約30%。開発余地が残るエリアは八つあり、前沢賢取締役は「すでにいくつかのパートナーと誘致の話をしている」と話す。

 鈴木理事長によると、大学移転の総事業費は420億円を見込み、すべて大学が負担する。70億円を自己資金でまかない、残りの350億円を金融機関からの借り入れで調達する予定という。

 用地は、北広島市がFビレッジの敷地としてFSE社へ賃貸している土地32万平方メートルのうち、1万7700平方メートルを大学へ有償で転貸する。新たに整備される建物の延べ床面積は6万5千平方メートルとなる予定。設計などを来春までにまとめ、2025年春の着工をめざす。

 当別町にある現在のキャンパスには、薬草園や総合グラウンドを残すが、2カ所にある医療機関「歯科クリニック」(当別町)と「大学病院」(札幌市北区あいの里2条5丁目)は、北広島市の新キャンパスへ統合する。移転に伴い、大学の学部を減らすことはしないという。

 現在、学生が約3600人、教職員が約800人いる。今後、当別町から北広島市へ移ることになるが、通学、通勤する「昼間人口」は、地元自治体の公共交通も含めた都市計画にも影響する。

 締結後の会見で大学は移転の理由について、新キャンパスに近接する新駅の計画に触れ、現在よりもアクセス性が改善されることを挙げており、学生の中には、看護師などの資格を取得後、医療機関などで働きながら大学院で学ぶ人もいて、札幌と新千歳空港を結ぶJR千歳線の沿線の新キャンパスで利便性は高まる。「移転で現状維持か、それ以上の学生数を確保できる期待を持っている」(鈴木理事長)とした。

 一方、現在の拠点がある当別町では、学生や職員の多くが通勤・通学に利用しているJR札沼線(学園都市線)の「北海道医療大学駅」の利用客が大幅に減りそうだ。同駅は札沼線の終着駅で、JR北海道の15~19年の調査によると、乗車人員は平日1日あたり平均2369・4人。すぐに駅の存廃に影響する可能性は低いと見られるが、1日上下計66本の発着本数が減る可能性はある。

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら