コロナ対応、岸田政権は「信頼損なう」判断も 尾身氏が3政権分析
コロナ禍の3年余りで、専門家が政府にした提言は100を超える。中には不採用や政府が独断したこともあった。新型コロナ対策の一線から退いた尾身茂・結核予防会理事長が、朝日新聞のインタビューに応じた。我々が完璧だなんて思っていない――。提言の内容が妥当だったのか、検証を望んでいる。
尾身氏は、国内で感染が広がり始めた2020年2月、政府の専門家会議に参加。その後、コロナ対策分科会長などを務め、専門家による提言のとりまとめや政府との交渉役を担ってきた。
「この3年半、最も多くのエネルギーと時間を費やしたのは提言の作成だ。どういうデータ、根拠、言い回しでつくるか。提言こそが命だ」。国民の行動変容のほか、医療提供体制に関する提言も繰り返し示した。
多くの提言は政府に採用された。だが、「Go To トラベル」の運用見直しを求めた20年11月の提言は採用が遅れ、「第1波」のもとでの一斉休校要請や布マスク(通称アベノマスク)の配布は政府の独自の判断によるものだった。
これらコロナ対策をめぐる政府の対応は、以下のパターンに分けられると、尾身氏は指摘する。
①趣旨を理解した上で専門家の提言を採用②採用したが実行が遅れる③提言の趣旨を理解していない④提言を採用しない⑤専門家と協議せずに独自に判断⑥専門家と相談していないのに相談したと言って進める――の六つだ。
提言への対応 各政権での違いは
安倍、菅、岸田政権のいずれも提言採用(①)はあった。一方、安倍政権では不採用(④)と独自判断(⑤)があり、菅政権では「Go To トラベル」や東京五輪・パラリンピックの無観客開催をめぐって、実行の遅れ(②)や趣旨を理解しない(③)ことがあった。
岸田政権では、趣旨を理解し…
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