那須どうぶつ王国の2歳ライチョウ、中央アルプスへ帰郷

小野智美
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 【栃木】国の特別天然記念物ライチョウの「復活作戦」に参画中の那須どうぶつ王国(那須町)は26日、預かっていた中央アルプス長野県)生まれの2歳雄を故郷の木曽駒ケ岳(2956メートル)に返した。2年前はヘリコプターで連れて来たが、今回は初めての陸送となった。山頂までは背負われて帰郷を果たした。

 昨夏は、同郷の雌2羽との間で生まれた子11羽が木曽駒ケ岳に放された。今夏、11羽中4羽の無事が確認され、1羽にはヒナも誕生していた。今春は人工繁殖育ちの雌とつがいになり、3羽の子が母鳥とほぼ同じ体格まで育っている。

 26日は同園プロジェクトチームのリーダー原藤芽衣獣医師(33)、飼育員の橋本渚さん(30)と大木優華さん(24)が木曽駒ケ岳まで付き添った。同園を出る車を見送りながら飼育リーダーの荒川友紀さん(31)と上田海那人獣医師(28)は「なんとか生きていってほしいね」「まず気温差が結構あるから」と気遣った。

 2歳雄について荒川さんは「性格は怖がりなんですが、雌にはすごく紳士的で優しく、繁殖に寄与してくれて心強かった」。上田さんが「この春は映像でも交尾が確認できず、祈っていたら、ヒナが生まれた」と語ると、荒川さんも「救われたね」とうなずいた。

 環境省主導の作戦はこれまで同園と長野市茶臼山動物園の2園で中央アルプス生まれのライチョウを繁殖させて山へ返すことを繰り返す方針だった。今回、茶臼山動物園で預かっていた中央アルプス生まれの2羽も故郷へ返した。今後は動物園の人工繁殖で増やしてきたライチョウを山へ返す方針だ。国内のライチョウ保全史上初の取り組みが始まる。(小野智美)

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