猛暑に弱る家畜たち 東北で死ぬ牛が急増、名古屋コーチンは生育遅れ

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阿部浩明 高橋昌宏 辻岡大助 良永うめか 伊藤隆太郎 小島弘之

 観測史上「最も暑い夏」となった今年、猛暑の被害は家畜にも及んだ。暑さにより、昨年の10倍近い数の鶏が死ぬ深刻なケースもあり、全国に知れ渡るブランドの鶏や牛に影響が出ている。

 「こんな猛暑との戦いは初めてだ」。秋田県のブランド鶏・比内地鶏の養鶏を手がけて約20年になる高橋浩司さん(64)は困惑する。比較的冷涼な東北地方でも今年の暑さは特別で、鶏舎がある大館市では8月、最高気温が35度以上の猛暑日が18日間あった。高橋さんの鶏舎では夏場、40度を超え、20羽が死んだ。

 9月に入っても食欲が落ちているため、鶏の体重が増えず、買い取り価格が下がることも心配だ。高橋さんは「将来的には従来の対策では太刀打ちできなくなるかもしれない」と話す。

被害が相次ぐ中、牛専用ネッククーラーが開発されるなど、〝涼〟を求めて工夫が進んでいます。

水飲み場で比内地鶏が圧死

 秋田県によると、昨年は暑さ…

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    大村美香
    (朝日新聞記者=食と農)
    2023年9月27日10時58分 投稿
    【視点】

    新潟県などでは、酷暑が稲の生育を阻害し、グレードの低い2等米、3等米が増えていると伝えられています。昨年、朝日新聞デジタルで、気候変動が食卓に与える影響を特集しました(「食卓異変」https://www.asahi.com/rensai/l

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    太田匡彦
    (朝日新聞記者=ペット、動物)
    2023年9月27日11時24分 投稿
    【視点】

    鶏には汗腺がないため、発汗による体温調節機能が働かない。また、そもそも体温が40℃以上と高いのに加え、全身が羽毛で覆われているため、農林水産省は今年7月に公表した「アニマルウェルフェアに関する飼養管理指針」において、「夏季の暑熱ストレス防止

    …続きを読む