論文の査読不正、国の研究指針に「追加検討を」 学術会議が報告書

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竹野内崇宏
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 学術論文の内容を著者とは別の専門家がチェックする「査読」の過程で、福井大の教授らが不適切なやりとりをしていた問題で、日本学術会議は25日、国の研究不正防止指針に、査読不正の規定についても追加を検討するよう求める報告書をまとめ、公表した。過度な論文発表競争が背景にあるとして、「不正行為が広がりを見せている」と危機感もにじませた。

 査読不正をめぐっては論文の査読役を担当した千葉大の研究者らが、本来は自分で書くべきコメントの文案を、チェックを受ける側の福井大の教授に依頼。福井大が昨年12月、不適切な「査読操作」と認定し、文部科学省が学術会議に対して、査読制度について審議を依頼していた。

 学術会議は報告書で、査読について「研究成果の質を担保するゲートキーパー」だと強調。

 一方で、過度な論文の発表競争が背景にあり、世界的な論文数の増大、専門領域の細分化などで、学術誌の編集者側が「査読者を選ぶことに苦労する事態が生じている」と指摘。この負担軽減のために作られた、チェックされる側の論文投稿者が、チェックする査読者を推薦する制度などが、不正の温床になりうると警鐘を鳴らした。

 そのうえで不正の類型として…

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    遠藤謙
    (エンジニア)
    2023年9月26日22時1分 投稿
    【視点】

    論文の査読やエディターが研究者がボランティアで行うのが風習となっており、不正や捏造、改ざん、盗用などが個々の倫理観でしか保たれておらず、ガバナンスが効いていない状態であると感じる。研究者の発表の場として学会発表や論文が一般的であるが、なかな

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