あなたも持つ「ジェンダーアイデンティティー」 ゆがめられぬために

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聞き手・高重治香

 ジェンダーアイデンティティー。今年成立したLGBT理解増進法でも、急きょ採用されたこの言葉。フェミニズム・クィア理論研究者の清水晶子・東京大教授は、ジェンダーアイデンティティーを「誰もが持っているもの」だといいます。

 生物学・医学的な性別がセックスと呼ばれるのに対し、それと関連しつつも必ずしも一致しない性別のあり方が、ジェンダーと呼ばれてきました。

 ジェンダーには二つの文脈があり、フェミニズムでは、社会的・文化的な制度として理解される性別をこう呼びます。一方、心理学精神医学では、人が自分自身の性別をどう感じるかという、個人的な感覚を指す言葉です。

 「ジェンダーアイデンティティー(以下GI)」という言葉は、これらの文脈の上で、社会で作られた性の区分との関わりにおいて、個人が自分をどのように理解するかの感覚を指します。個々人が感じる性別は、既存の区分に当てはまる場合もそうでない場合もありますが、誰もが何らかの感覚を持っています。

 その日本語訳が「性同一性」…

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この記事を書いた人
高重治香
論説委員
専門・関心分野
ジェンダー、文化