第2回京大の無料講義サイト閉鎖方針、立ち上がったのはかつて救われた学生
京都大の講義や講演の一部は、実は誰でも無料で受講できる。
「京都大学オープンコースウェア(OCW)」。20年近い蓄積があり、これまでに約6400の講義・講演の動画をユーチューブを通じインターネット上で公開してきた。
京大大学院で知能情報学を専攻する修士2回生の大戸康隆さんも、高校時代から受講していた一人だった。
そして昨年、少し違う立場で関わることになった。
2022年8月、京大は「組織見直しの一環」として、OCWの運用を担ってきた学内のセンターの廃止と、OCWサイトの閉鎖を突如、発表した。
「京大の『知の資産』が危機に陥るかもしれない。何とか守りたい」。当時、修士1回生だった大戸さんにとって、廃止のニュースはショックだった。
心身の不調で高校に通えなくなり、大学進学の希望が叶わない時期が続いた。でも勉強は好きで、自宅で大学生向けの数学の教科書を読んで過ごしていた。
困ったのは、難しくて分からないことが出てきた時。自宅では、身の回りに大学レベルの数学の質問をできる人はいなかったからだ。
だが、ネットで調べると、京大がOCWのサイトで、無料で講義を公開していた。国内外の他の大学が同じ取り組みをしていることも知った。講義を見ると、わからなかったところも丁寧に解説されていて救われたことを覚えている。
中でも京大は、OCWの歴史とコンテンツの充実度で日本国内のトップランナーだった。そんな重要な、そして自分も思い入れのあるサイトが廃止されるという。
「自由の学風」が変革の波に揺れている。霊長類研究所の解体や、講義の無料公開サイトの終了方針には反対や異論が噴出。国際卓越研究大学の選に漏れた京都大の今と行く末をどう見るか、学生や教員、卒業生らに聞いた。
学生有志が代替サイト
「OCWは誰もが一流の講義に触れ、系統的に知識を身につけられる大事なツール。代替サイトを作れば、かつての自分のようにいろんな事情で学べない学習者の助けになる」。高校時代を思い出し、できることを考えた。
研究室の仲間に相談すると…
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