東九州新幹線の実現に向け全県協力 2ルートの費用対効果も試算へ

倉富竜太
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 東九州新幹線の整備実現に向けた動きが活発化している。佐藤樹一郎知事が「国のプロジェクトだが、言い続けることが大切」との姿勢を示し、今年度の一般会計補正予算に東九州新幹線推進事業として約400万円を計上。8月には知事と全18市町村長が議論を交わす「新しいおおいた共創会議」が開かれ、県全体で協力していくことが確認された。

 県交通政策課によると、東九州新幹線は国が全国新幹線鉄道整備法に基づき、1973年に決定した基本計画路線のひとつ。福岡市を起点として、大分市付近、宮崎市付近を通り、鹿児島市を終点とする、とされている。

 実現に向けては整備計画の決定、工事実施計画の認可が不可欠だが、需要に対応する供給輸送能力、ルートの地形・地質、建設費用の調査が必要で、いくつもの課題が待ち構えている。

 8月の共創会議では、県は「JR日豊線沿い」と「JR久大線沿い」の二つのルートを例示し、それぞれのメリット、デメリットを説明した。日豊線沿いは、沿線人口が多く、本州への速達性で優れている一方、大分から博多方面、関西方面に向かうどちらか一方は小倉駅で乗り換えが必要となる。久大線沿いの場合は、佐賀、長崎、熊本へのアクセス改善効果が大きく、小倉駅での乗り換えの必要がない一方、山間部が多くコストへの影響が大きい、とした。

 その上で「いずれのルートになっても、並行在来線の維持や地域間格差の拡大などの課題があり、在来特急の継続についても不確実な面がある」とした。

 共創会議は非公開で行われたが、県によると、日豊線沿いにある中津市の奥塚正典市長は「九州の東西格差の是正のためにも東九州軸の整備が必要」とし、久大線沿いの日田市の椋野美智子市長は「人口増や地域振興などにつながる」と発言。今後も議論を重ね、全県で取り組んでいくことを確認したという。

 県は秋までに整備費や費用対効果分析などの試算をまとめて公表する予定。佐藤知事は会議後、「他県とも連携し、循環型の交通整備に向けて議論を重ねていきたい」と話した。(倉富竜太)

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