10月から県がパートナー制度 電子申請や郵送で匿名性強化
鳥取県は10月から、性的少数者を対象とした独自のパートナーシップ制度を導入する。当事者の声や有識者の指摘を受けて、電子申請や郵送での届け出を可能にするなど、匿名性を高めた。対象となるカップルのパートナー関係だけでなく、それぞれの親子も含めて家族関係にあることを公的に証明することで、入院や葬儀などに伴って必要な行政手続きが、よりスムーズにできるようにする。
制度の対象となるのは婚姻していないカップルで、いずれかが県内在住の性的少数者。届け出ると受理証明書や携帯用のカードが交付され、公営住宅への入居や公立病院の手続き、公営墓地の利用などで、家族関係の確認作業が円滑になるなどのメリットがあるという。
パートナーシップ制度の導入は全国の自治体に広がっているが、多くは窓口での宣誓行為が必要だ。県が7月と8月に、当事者や有識者を交えて課題を協議した研究会では、「証明できるものがあれば、もう少し楽に入院できた」と公的な証明書の必要性を訴える声が当事者からあがる一方で、「田舎なので制度の申請に役場に行ったら、それだけで広まってしまうという不安がある」と匿名性を求める意見も出た。
県はこうした意見を踏まえ、さらに寄り添った配慮が必要と判断し、新たな制度の導入を決めた。今後、証明書を活用してさまざまな行政サービスを利用できるよう各市町村に協力を求める。
平井伸治知事は「匿名性を獲得しにくいのが地方の状況ではないか。地域の特性に応じたやり方があっていい。性の多様性を尊重し、みんなが安心して暮らせる社会づくりを制度として運用したい」と話した。
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