ジャニーズ問題 「児童」虐待であるという認識が薄い日本の報道

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投稿「私の視点」 鈴木弘貴・聖心女子大学教授(グロ-バルジャーナリズム

 ジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川氏による「性加害」問題は、国連人権理事会の作業部会が調査に入る事態に発展した。だが日本の主要メディアがこの問題を報じたのは、英公共放送BBCの報道番組が今年3月に放映されたあとのことだ。

 日本の報道は、なぜBBCに後れを取ったのか。朝日新聞の野村周ゼネラルエディターが「性加害、とりわけ男性への性加害という問題に対する認識が不足していた」(6月29日付)とのコメントを発表しているように、多くの日本のジャーナリズムはこの問題を芸能界での「性的な」加害行為とみなしている。

 しかし、報道番組の取材にあたったBBCのモビーン・アザー記者は、筆者とのメールインタビューの中で、この件における「最もはっきりとしたテーマは〈子どもの虐待という人権問題〉だった」と答えている。ここには、ジャニーズ事務所で起きた問題が性加害の問題であること以上に、被害者が成人ではなかったことを重大視する視点がある。

 米ボストン・グローブ紙は…

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    末冨芳
    (日本大学文理学部教授)
    2023年8月31日18時43分 投稿
    【視点】

    家族以外の第三者からの性暴力も児童虐待です。日本は子どもの権利条約批准国にもかかわらず、30年以上、家族や家族以外のあらゆる種類の虐待から、子どもを守る仕組みを作ることを怠ってきました。 英国と比較して、日英の差がどれほどのものかは以

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