ライチョウ復活作戦、中央アルプスに成鳥80羽生息か 前年から倍増

菅沼遼
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 国の特別天然記念物・ライチョウの「復活作戦」が進められている長野県中央アルプスで、繁殖可能な71羽の成鳥の生息が4~7月の調査で確認された。未発見の成鳥もいることを考慮すると、前年のおよそ2倍となる80羽程度が生息していると推測されるという。環境省信越自然環境事務所が7日、発表した。

 ライチョウは本州中部の高山帯にのみ生息し、中央アルプスではおよそ半世紀前に絶滅したとされていた。だが、2018年に木曽駒ケ岳(標高2956メートル)でメス1羽の生息を確認。これをきっかけに、中央アルプスを生息地として復活させる環境省のプロジェクトが始動した。

 北アルプス乗鞍岳(標高3026メートル)から家族ごと移送したり、山頂付近に置いたケージで保護をしたりして、成鳥の数を21年には18羽、22年には41羽と順調に増やしてきた。

 今回の調査では、ライチョウのつがいなどが作る29個のなわばりを確認。つがいの一部は一夫二妻で、オス28羽、メス32羽が繁殖しているという。なわばりを持てなかった「あぶれオス」は11羽見つかった。未発見分も踏まえると成鳥の総数は80羽前後と推測されるという。

 22年に栃木県の那須どうぶつ王国で生まれ、木曽駒ケ岳の山頂付近で野生に放たれたヒナ16羽は、このうち3羽が成鳥となった姿で生存が確認された。6月下旬~7月上旬は孵化(ふか)の時期で、ヒナを連れているメスもいるという。

 環境省が目標としている30~50つがいの達成も近い。環境省は今後、天敵となるサルの追い払いやキツネなどの捕食者対策に取り組み、さらなる個体数の増加を目指す。(菅沼遼)

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