男女の区分にとらわれない「ノンバイナリー」俳優ら受賞 米トニー賞
米演劇界で最高の栄誉とされる第76回トニー賞が11日、ニューヨークで発表された。ミュージカル部門では、作品賞や脚本賞など5部門に「キンバリー・アキンボ」が選ばれた。また、性自認が男女のどちらでもない「ノンバイナリー」の俳優らが史上初めて、ミュージカル部門の主演男優賞と助演男優賞を受賞した。
米ニュージャージー州が舞台の「キンバリー・アキンボ」は、70代のような容姿を持つ10代の女子学生が主人公だ。人より何倍も速く老化していく難病を抱えており、家族の問題とも向き合いながら幸せを探す。
「サム・ライク・イット・ホット」(映画「お熱いのがお好き」の舞台版)では、ジェリー/ダフネ役を演じたノンバイナリーの俳優、J・ハリソン・ジーが演技力を高く評価され、主演男優賞を受賞した。ノンバイナリーの俳優アレックス・ニューウェルも、「シャックト」で歌唱力が絶賛され、助演男優賞に選ばれた。米国では男女別の表彰のあり方について議論があり、今回のトニー賞でも、候補となることを辞退したノンバイナリーの俳優がいた。
演劇部門では、「レオポルトシュタット」が作品賞や演出賞など4部門を受賞した。オーストリア・ウィーンを舞台にしたあるユダヤ人一族の物語。戦争やナチスの支配、ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)などに翻弄(ほんろう)される一族の歩みを描いている。
トニー賞は、ニューヨークのブロードウェーで上演された演劇とミュージカルが対象となる。授賞の式典は毎年、テレビで全米に中継され、注目を集める。
業界団体「ザ・ブロードウェー・リーグ」によると、2022年5月~23年5月の今期は、新型コロナウイルスの感染拡大で休演を余儀なくされた時期が終わり、初めて1年を通じて公演を開くことができた。売上高は計15億ドル(約2千億円)を超え、動員数はのべ約1228万人。今期を通じて88・4%の座席が埋まり、コロナ禍の前に匹敵する水準まで回復したという。
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