広島ビジョンは核廃絶への道筋示せたか 「防衛目的に」維持正当化も

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編集委員・佐藤武嗣
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 戦争被爆地・広島での初の主要7カ国首脳会議G7サミット)で19日、「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」が発表された。米英仏の核保有国を含むG7首脳が広島に集い、「被爆の実相」に触れたうえで、広島から核軍縮を訴えた意義は大きい。

 ロシアによる2014年のクリミア併合を機にG8からロシアを外してG7になって以降、G7首脳が独立した核軍縮の文書をまとめたのは初めてだ。

 ただ、広島ビジョンは、ウクライナを核で威嚇するロシアや、核開発を進める北朝鮮を批判し、中国を念頭に核戦力の透明化を促すことに力点が置かれた。これに対抗するため、西側の核抑止力維持の重要性にも触れ、核軍縮に「条件」をつけるなど、G7が「核兵器のない世界」実現への決意や道筋を示したとは言い難い。

 昨年11月、インドネシア・バリで開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議では、岸田文雄首相の働きかけで、首脳宣言に「核兵器の使用、威嚇は許されない」と明記した。これはロシアのみを名指しするのではなく、米英仏など西側も含む、全ての核保有国へのメッセージだった。

ロシアの「脅し」は痛烈に批判したものの

 これに対し、今回の広島ビジ…

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この記事を書いた人
佐藤武嗣
編集委員|外交・安全保障担当
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外交、安全保障、国際情勢、民主主義、ジャーナリズム
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