映画制作の適正な働き方に「認証マーク」 自主的な新制度、4月から
日本映画を支えているフリーランスのスタッフが劣悪な労働環境を強いられることを防ぐ仕組みづくりのため、映画業界の関係者が29日、制作スタッフの契約や働き方について認証する自主的な新制度の協約に調印した。認証制度は4月1日からスタートする。
調印したのは、東宝など大手4社でつくる「日本映画製作者連盟(映連)」、独立系プロダクションで構成する「日本映画製作者協会」、監督や撮影、編集など八つの映画職能団体。
映連などは、制作会社とスタッフ間などで契約書を結ぶ▽準備などを含めた撮影時間は1日13時間以内とし、週1日以上の休日を設ける▽作品ごとにハラスメント防止責任者を必ず設け、防止するための研修を全てのスタッフに行うよう努める――などのガイドラインに基づき制作を行う。映連などの出向者でつくる一般社団法人「日本映画制作適正化機構(映適)」(昨年6月発足)が適正に制作が行われているかを審査し、認証マークを与える。
ただ、映適によると、審査は実写のみで、アニメは対象外。映適の事務局は現時点で4人しかおらず、初年度は最低20本程度の審査をめざすという。映適の島谷能成理事長(映連代表理事)は「法令順守なくして、映画業界は持続的に発展できないし、仕事していけない。(映適の仕組みは)必要な一手だった」と強調。「映適が作り上げたルールがどれだけ浸透していくか勝負だと思っている」と語った。(細見卓司)…