夫の怒りは「私の努力が足りないから」 モラハラが心をむしばむまで
「夫が怒るのは、私の努力が足りないから。ずっとそう思っていました」。兵庫県の30代女性は約5年間、会社員の夫から、モラハラ(モラルハラスメント)と言われる精神的DVを受けていた。
それは、日常のささいなことにはさみ込まれた。
長男(中3)を帝王切開で出産した直後、腹痛がひどく、医師に安静を命じられて体を休めていた。だが、帰宅した夫に「一日中寝てたん? なんで家事してないの?」と責められた。
最初はただの「ちょっとした小言」にも思える夫の言葉。気付かぬうちに女性の心をむしばむ、巧妙なモラハラの過程を追います。
順調に昇進している夫に比べ、家で家事をしないのは甘えかもしれない。そう思い、翌日、女性は張ったおなかを抱えて風呂掃除をした。
献立が気に入らないと、「お前の料理は焼いたんか炊いたんしかないんか」。子どもが風邪を引くと、「世話してんのか」。怒りのスイッチが入ると、説教は2~3時間続いた。
何が夫の怒りを呼ぶのかわからず、機嫌次第だった。理由はささいなものだったため、「私がうまくやれなくて怒らせちゃっただけ」と思っていた。
身体的な暴力はなく、説教後は優しかった。「DVってほどじゃない」と、親からDV相談窓口を勧められても断った。
エアコンをかけなかっただけなのに
約10年前の夜風が涼しい夏…
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- 【視点】
「壮絶な暴力を受けて事件化される被害女性は一部かもしれないが、言葉や態度による威圧を受ける精神的DVで苦しむ人はもっとたくさんいるのかもしれない」 普段は事件取材を担当している若手記者のそうした問題意識から、取材が始まった記事です。
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