南回り 技術的に困難 西九州ルート 佐賀空港そば通る案

加藤裕則 三輪さち子 寿柳聡

 整備方式が決まっていない九州新幹線西九州ルートの武雄温泉(佐賀県武雄市)―新鳥栖間(同県鳥栖市)について話し合う与党検討委員会が1日、東京都内であった。森山裕委員長は会議の終了後、佐賀県側が「検討に値する」としている南回りルートについて、佐賀空港そばを通るルートでは技術的に困難という認識を示した。

 国土交通省は武雄温泉から西九州新幹線を延ばし、九州新幹線(博多―鹿児島中央)と接続して博多につなげる構想を持っている。その場合の案として、国交省と佐賀県との協議の場では、新鳥栖で接続する佐賀駅ルート(アセスルート)と北回りルート、佐賀空港を経由して筑後船小屋(福岡県筑後市)で接続する南回りルートの3つが検討されている。森山氏によると、この日は新幹線を建設する鉄道・運輸機構から南回りのルートについて説明を受けた。

 同機構は、有明海沿岸にある佐賀空港付近を新幹線が通るには橋やトンネルなどが必要だが、空港周辺には構造物の高さ制限(半径3キロ圏内は高さ45メートル以内など)があるほか、漁業への影響や安全面から工事は難しく、現実的ではないと説明したという。

 一方で高さ制限区域を避けたり川幅が狭い上流地域を通したりするなど、少しルートを変えればどうか、との意見も委員からは出たという。森山氏は「地元の意見が集約されて一つの提案があれば、また検討することはやぶさかではない」とも述べた。

 南回りルートについて森山氏は、「いま予測している空港の近くを通るルートでは無理だと言うことだ。我々としても安全第一だ」と述べる一方で、「(西九州新幹線の延伸は)九州全体にとっても大事なプロジェクト。佐賀県の理解を得て出来るだけ早く進めることが大事」と国交省に佐賀県との話し合いを促した。

 県と国交省がこの問題について話し合う「幅広い協議」は昨年2月10日を最後に開かれていない。

 南回りルートはJA佐賀中央会の金原寿秀会長が、トラック運転手不足などを背景に、佐賀空港や有明海沿岸道路とも絡めた北部九州一帯の物流機能を新幹線に付加するかたちで提唱。山口祥義知事も「検討に値する」と評価している。

 山口知事は与党検討委終了後の1日午後、報道陣の取材に応じた。南回りを修正したルートが言及されたことについて報道陣に問われた知事は、「いままで(国交省)鉄道局はアセスルート一択で、そこから出ていかなかった。ルートひとつとっても、いろんな検討がなされる可能性があるという話だったということなので、それはいいことだ」と評価した。(加藤裕則、三輪さち子、寿柳聡)…

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