鶴岡・加茂地区の風力発電事業、鶴岡市が中止申し入れ

鵜沼照都
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 【山形】鶴岡市加茂地区に計画中の風力発電所建設について、鶴岡市は1日、事業者のジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE、東京)に計画の中止を申し入れた。皆川治市長が同日会見し、明らかにした。計画を巡っては、市民らが反対活動をしている。

 計画地は、水鳥の生息地としての湿地を保全・活用する国際条約「ラムサール条約」に登録されている県内唯一の湿地「大山上池・下池」から2~3キロほどの場所にある。

 中止を求めた理由について、皆川市長は会見で、国際的にも価値のあるラムサール条約登録湿地の近郊で国や県も風力発電建設は望ましくないとしていること。さらに、同市のガイドラインでも「豊かな自然環境や歴史・文化的資源で良好な景観のある区域には風力発電建設を認めない」としている点を強調した。

 皆川市長は「計画に賛成、反対があるからではなく、ラムサール登録湿地に近接しているからだ。(近隣の)八森山、三瀬矢引、加茂と風力発電所が連なるのは、野鳥の飛来ルートや採餌(さいじ)場への移動ルートなどへの懸念があると国からも助言された」と説明した。

 JREは近くアセス方法書の提出を予定しており、「その前に態度表明をした」という。ただ、市の中止申し入れに強制力はない。

 一方で、JREは「これまで環境影響評価を適切に進め、詳細な調査結果をこれから評価する段階と認識しております。地域の皆様へも丁寧に説明してきました。突然の発表に困惑しています。対応について今後協議してまいります」とコメントした。

 JREは、石油元売り最大手のエネオスホールディングス傘下の企業。同社によると、計画では、4200キロワットが発電できる高さ145メートルの風車を8基建て、2028年度の運転開始を目指している。

 また、同社は同じ鶴岡市の日本海沿岸で「鶴岡八森山風力発電所」を21年11月から運転。八森山から約5キロ北東側の「三瀬矢引」でも24年8月の着工、27年1月の運転開始を目指している。(鵜沼照都)

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